以前、これと少し被ることのある質問がありましたので、まずは目を通してください。これがひとつの前提となります。ざっくり言うと、恋人氏は「普通」であり、質問者さんは「異端」であるということです。
https://mond.how/ja/topics/8kp8znviy6tky89/r1jfln0wbdw83s8
もうひとつ前提があります。
食を趣味としない人にとって、食を趣味にする人の感覚はなかなかわかりにくいものです。趣味として食にお金(や気持ち)を使う様は、はたから見ると単に「贅沢をしたいからそうしている」、もう少しマイルドに言えば「生活の質を高めたいからそうしている」と思われがちです。
質問文からは判断しきれませんが、恋人氏の自意識が「食に対して贅沢な彼女に理解を示し、それを受け入れる程度の財力もある俺」というものだったら危険です。それが贅沢ではなく趣味であることを理解してもらうことは先ず必須。恋人氏の趣味が仮に「ゲーム」であるとしたならば、質問者さんにとっての食は、あくまでそれに当たるもの、ということです。
そこはクリアされているとして、次に進みます。
パートナー同士で同じ趣味を持つことは幸せですが、そうでなくてもうまくやっている人々はいくらでもいます。食の場合難しいのは、そこにおいて「趣味」と「生活」の境目が曖昧な点ですね。これは、はたから見て曖昧なだけでなく、本人にとってもそうです。
一番いいのは、恋人氏にとっても食が趣味のひとつになることであり、質問者さんが望んでいるのもまさにそこでしょう。そうなると、趣味と生活の境目は曖昧なままでもよくなります。恋人氏にとっても食が趣味となるために何をしたらいいか。これは正直、第三者がどうこう言えることでもありません。ただ絶対に必要なことは、質問者さん自身が食を心から楽しんでいる姿を見せつけ続けることと、その都度その何が楽しいのかを、きっちり言語化して説明するということだと思います。「察して欲しい」は通用しません。これは外食においては特にそうです。
自炊においても基本的に同じですが、ここはどうしても「生活」とは不可分です。先ず必要なのは、料理担当者としては、自分が好むものと相手が好むものの両方を用意することを心がけることだと思います。なんだか最近はこういう問題に関しては「文句があるなら自分で作れ」とバッサリ切り捨てるのが良しみたいな風潮があります。それは正論ではあっても何も解決しないことは、おそらく質問者さんもわかっていると思います。あなたはこういうの好きでしょ、そして私はこういうのが好き、みたいな食卓が理想だし、正直料理というものは、自分が好きなものだけを作るより、そっちの方がよりクリエイティブで楽しいと思うのですがいかがでしょう。
さらにここにおいて具体的に有効な方法論として、僕は「とにかく食卓にタレを置け」ということを推奨しています。自家製でも市販でもなんでもいいから、とりあえずかけたら「普通の人」でもおいしいと感じるものをいくつか出しておこう、という話です。焼肉のタレをかけたらだいたいなんでもおいしくなる、みたいなことも否定しないということですね。最初はそれでいい。
健闘を祈ります。