僕も島袋先生と同じく若手研究者、更に現在は任期のあるポスドクです。これまで回答されている方々や世代間の対立を煽るつもりはないですが、日本において安定したポジション探しの状況は過去に比べてはるかに悪化しています。
日本の天文業界だけに限りますが、博士号取得後のキャリアパスを調べた調査結果が天文学会の会誌にて報告されています。図11(著作権上念のため、こちらの回答には直接利用していません)が最も現在の状況を端的に表されていると思うのですが、2000年までに博士号を取得した世代(第一世代)、2000-2010年の期間に博士号を取得した世代(第二世代)、それ以降の世代(第三世代)において博士号取得後ポスドク(任期付きポジション)だった期間をグラフにしたものです。任期付きのポジションという点に関しての是非についてはここでは割愛させていただきますが、明らかに近年の博士号取得者の方が安定したポジションを得るのに時間を要しています。
これを別の見方で言うと、若手研究者が一つのポジションに応募するとして、これまでは5年キャリア期間を上回る人と競争しないといけなかったのが今では10年キャリアを上回る人と競争しないといけないと言う事です。このような中で更に安定したポジションはどんどんと減っています。このままいけば今後15年キャリアを上回る人と競争となってもおかしくなく、ただただ悪循環です。過去の制度の間違いから機会均等のために女性限定枠を増やしたところで、現状既に焼け石に水といった状態なのではないでしょうか。
このような状況で若手研究者にとっては日本かアカデミアを去るのが一番良い選択肢となるケースが多数あるという現実は上の世代の方にもきちんと問題として認識していただきたいです。世代に関わらず一致団結して将来のことを考えないと、今後研究を志す人にとって日本のアカデミアは全く希望を持てなくなるどころか、僕はもう既にそうなりつつあると思っています。自分はその頃にはリタイアしているから関係ないと思っている人はいてほしくないですね。