数学者の頭の中を見てみたい。現実とは何の関係もなさそうな、論理だけで構築された宇宙で起こるできごとについて研究する。法則(あちらの世界では定理というそうです)を導いて、一度証明されたらもう絶対に正しい。もうとにかく数学こそ科学の王様です。「絶対に正しい」ということは他の分野では滅多にありませんからね。

ただし現実に戻ると、彼らが何を言っているのか普通の人たちにはわからないのが普通です。不気味な用語や記号がやたら登場する。議論のなかでは記号が擬人化され、その意味は数学を深く学んだ人にしかわからない。私みたいなにわかファンには意味不明です。もう嫌がらせじゃないかと思うくらい。

ご質問は何でしたっけ? 曲率テンソルですか。4次というのは添字が4つついている4階のテンソルのことですかね。なぜ3階でも5階でもなく4階なのか。そういう質問だと理解しました。空間次元の話ではありませんよね。

空間が曲がっていることを表現するにはどうすればいいか。丸いボールの表面は曲がっている。それは見ればわかりますが、同じことをその空間に住んでいる人が知りたいと思ったらどうしたらいいかという問題です。地球の表面に住んでいる人が空を見ることなく地球が丸いことを認識できるか。どうすればいいと思いますか?

数学の世界ではこうやるそうです。まず矢印を一つ用意し、それをある点から平行移動する。X方向に少し進み、次にY方向に少し進んでください。今度はもう一度同じことをやります。ただし、先にY方向、次にX方向の順で平行移動する。同じ場所にたどりついた2つの矢印をくらべてみましょう。平行移動したんだから、X→Y も Y→X も同じになるはずですが、これを曲がった空間でやったら同じにならないんですね。風船の表面に矢印を描いて試してみてください。これが「曲率」を定義するやり方です。

矢印がどう動いたか(回転したか)を表現するには行列を使うのが便利ですね。行列では行と列を区別するのにそれぞれ添字をつけます。2階のテンソルです。これに加えて、平行移動する面(さっきはXY面でした)を指定するのにあと2つ添字が必要になります。だから4階のテンソルなんですね。

ベクトルだけでもめんどくさいのに、添字が3つも4つもついたテンソルなんてもううんざりですよね。でもここを乗り切らないと物理学の勉強は進まないんです。何をあらわしているのか頭で想像しつつ、手を動かして慣れるしかない。ぜひがんばってください。

2023/02/26Posted
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