不動産の賃借と購入いずれがどちらが得になるかは、不動産の価格動向、金利、地震による損壊リスク、欠陥が発見されるリスク、税制などに左右されるので一概には言えませんが、それらの未知の情報は仮定した上で、「この分譲物件を購入することは、月々いくらの家賃を支払うのと同等なのか」を計算することはできます。

なお住宅ローン総支払額と家賃総支払額を比較する記事を見かけますが、あの数字は意味がありません。大きな金額で長期の投資を考える場合、金利や運用利回りが極めて重要な役割を果たすためです。

仮に手元に5000万円あったとして、今後20年間の住居を探しているとします(20年後には家族構成の変化などに伴い現在の住居を離れ、新しい住居に引っ越すと想定)。まずは問題を単純化して、地震の被害は無し、マンション価格は20年で半減すると仮定します。

選択肢1:売出し価格4600万円のマンションを購入する

マンションを購入すると仲介や不動産登記などの費用がかかるため、購入できる不動産の価格は4600万円程度です。不動産を購入すると固定資産税や修繕積立金などの支払いも必要ですが、話を簡単にするために定期的な支出はゼロと仮定して、20年後に2300万円で売却できたとしましょう。ここから仲介手数料などを差し引いて、最終的に手元に残る金額は2200万円程度になります。

選択肢2: 賃貸マンションを借りる

この場合、手元にある5000万円は運用に回すことができます。仮に不動産投資信託を購入し4%の運用利回りがあるとすると、当初は200万円の分配金が得られ、そこから税金を差し引いても手元に160万円残ることになります。もし賃貸マンションの家賃が13万3千円であれば分配金から支払うことが可能なので、20年後には5000万円が丸々手元に残ることになり、4600万年のマンションを購入するより得になります。なお月々の家賃が19万円強であれば、20年後には手元に2300万円残ることになり、選択肢1と同じ結果となります。

詳細な計算式は省略しますが高校生の数学程度の知識で算出可能です。なお興味があるようでしたら、固定資産税なども含めた導出過程を下記にまとめてあります。

https://blog2.issei.org/2022/12/10/wohnung-miete-vs-kaufen/

この計算式をベースにして、さらに地震のリスクや不動産価格の値上がり・値下がりの可能性を数式に反映することで、似たような賃貸物件と分譲物件が出てきた際に、どちらが得かを計算できるようになります。

なお、購入する場合に住宅ローンを組むと計算が変わってきます。不動産ローンは利率が極めて低い上に税制上も優遇措置があるので、勤労者世帯が住宅ローンを組んで手元資金を投資に回すと、賃貸よりも購入のほうが有利になる閾値がぐっと下がります。

2023/02/23Posted
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