「最大多数の最大幸福」」という言葉があります。

この場合、所謂「少数派」の意見や幸福という物は無視されるということになるようですが、少数派には我慢してもらう代わりに何らかの補填や補償といったものを用意することは、「最大多数の最大幸福」を履行しつつも出来るだけ誰をも取りこぼさない方策としてベターなのでしょうか。

例えば、昔「高速道路開通のために自身の所有する土地の畑の一部を、国に明け渡して工事を進める」という問題で、国と土地所有者の間で長年交渉や揉め事があったと聞きます。

この場合は国の法律もあって結局最後には半ば強制的に高速道路開通が成されたわけです。

これは、「この国ではそういうルールなのだから、土地所有者が我慢して補償を受けて土地を明け渡すのが正しい」というのが、おそらく大多数だと思うのですが、個人的感情としては「まあ、そりゃあ畑の所有者も『ハイそうですか』と言って明け渡したくはないだろうな・・・」と、同情的に感じていました。

何をどういった所で、「結局最後のは最大多数の最大幸福が優先される」というのが、今現在の社会の仕組みだと思います。

しかし上記の高速道路開通の件の様に、「まあルールだし最後はしょうがないけど、どこか釈然としない」という感想も持ちます。

少なくとも「ルールだからそれが当たり前だろ、いつまでも明け渡しに応じずに抵抗しているのは完全に間違いだ」とは、なかなか思えません。

(もっとも、私はこの地域の居住者ではない外野なので、このように安易に物申しているのかも知れません、その土地に住まう多くの人々にとっては、生活が便利になることに違いはないだろうからです。)

と同時にこの畑の所有者とても、おそらくは人生の様々な局面で「最大多数の最大幸福」という概念の恩恵を受けてきたであろうことは想像に難くありません。

「最大多数の最大幸福」という概念は結局のところ、

「そのケースごとに互いに譲り合う、そのために最終的には多数決で決める。かといって少数派をまったく無視したり切り捨てるのではなく、相応の補償や補填は行う。」

という運用なのでしょうか。

個人的には「最大多数の最大幸福はそれでよいが、もし仮に『ある特定の少数派』ばかりがいつも不当に我慢せざるを得ない状況があるとしたらそれは間違っている」とは思います。

いい質問ですね!

まず先にお答えしますが、ご質問の問題を真面目に考えたいならこの本を強くおすすめします。
質問者さんが悩んでいることがたくさん出てきて、大いに楽しめることでしょう。

『デモクラシーの論じ方: 論争の政治』

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さて、私の方は勝手に上記の本を念頭におきつつお答えしますね。

何をどういった所で、「結局最後のは最大多数の最大幸福が優先される」というのが、今現在の社会の仕組みだと思います。

さてさて。引用されているベンサムの言葉がどれだけ現代に影響を与えているかはよくよく考えねばいけません。私自身はベンサムが現代にどれだけ影響を与えたかを考えると、質問者さんが考えているよりは少ない影響だろうと考えています。

「最大多数の最大幸福」という概念は結局のところ、

「そのケースごとに互いに譲り合う、そのために最終的には多数決で決める。かといって少数派をまったく無視したり切り捨てるのではなく、相応の補償や補填は行う。」

という運用なのでしょうか。

こういうお話の時は歴史が重要になります。

誰が考えたり、公言した考え方は「それを言った理由」まで知らないと言葉の意味がわかりません。
たとえば昔のロシアの王様のピョートル1世は「人は髭を剃るべきだ」と考えて髭税を取りました。

-彼の反対する多くの人が髭を大事にしたからです-

福沢諭吉は「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」と言いました。

-それまで貴族と平民という身分の上下があったからです-

では、ベンサムは何を考えて「最大多数の最大幸福」と言い出したのでしょう。

少し難しいですが、「すべての人の幸福を目指すという発想が当時少なかったから」あたりでしょうか。

このベンサムの背景を考えてみると、質問者さんのバランスを重視する姿勢はベンサムとも相性がいいかもしれませんね。

とはいえ、ベンサムが言い出した時代と今は違います。

-ピョートル1世と福沢諭吉の時代と今が違うように-

ベンサムの限界はどこにあり、どのように「現代と合っていないか」と言われば……

前掲書を読んでほしいという以上の意見が出ませんね。

前掲書は「デモクラシー」について考えた本です。

いわゆる民主主義が二つの側面を持つという指摘をしている本です。

すなわち多数派が多数決で議会を動かす側面と、少数派が現状を打破するために抗議活動を-時には革命を-することがデモクラシーであるという。

この問題だけで190ページも触れてくれている本です。

この本を読んだうえで「最大多数の最大幸福」をどう扱うか、質問者さんがどう考えるのかが興味深いですかね。

3か月

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