シャコのパンチで生じる泡の性質について、高熱や光が生じるという説明は、実は正しいんだよね!ただし、そのスケールについて注意しないといけないよ。

まず、シャコのパンチは銃弾に匹敵する加速度で放たれ、秒速30mというトンデモない速度に達するよ。このような極端な速度で運動する物体があると、物体につられて動く水と、静止している水との間で圧力差が生じ、局所的に圧力が低くなり、一瞬だけ低い温度でも沸騰する場所が生じるんだよね。これがキャビテーションと呼ばれる現象だね。

このキャビテーションで生じた泡は非常に短命であり、周りの圧力が回復した後に圧縮するよ。この圧縮は極めて一瞬であるため、熱が出入りしない断熱圧縮が起きていると解釈できるんだよね。シャコのパンチで生じる泡は、元々サイズが小さい上に急激に圧縮されるので、太陽の表面に匹敵する5000℃以上もの高温が生じると計測される、となるんだよね。これがシャコのパンチが超高温であると説明される理由だよ。

もちろん、シャコのパンチで生じた泡に触れても、そんな温度は微塵も感じないはずだよ。これは、泡が極めて小さいために、いくら数千度の高温を持っていたとしても、エネルギーの総量としての熱量は極めて小さいからなんだよね。だからシャコのパンチが直撃したとしても、痛いだけで温度変化は全く感じないよ。一方でこれほど熱量が小さいと、当然ながら温度計を差して温度を測ることはできないよね。温度を測定するには、温度によって光の波長が変化する性質である黒体放射の原理に基づき、泡から生じている光の波長を測定することで間接的に知ることができるよ。つまり、光が無ければ温度を知ることもできないので、シャコのパンチで生じる泡から光が発せられている、という説明も間違いじゃないんだよね。熱も光もあまりに小さい上に、人の目では検知できないことだけが問題なんだよね。

ちなみに、このようなシャコのパンチで生じるキャビテーションを応用すれば、水中では発生させにくいプラズマを人工的に発生させる装置を作ることができるよ。プラズマは高温な状態じゃないと生成しないので、シャコを真似てこのような装置が作れるということは、実際にシャコのパンチで生じる泡も、微細な熱と光を発していることを示していることになるんだよね。

[参考文献]

  • Detlef Lohse, Barbara Schmitz & Michel Versluis. "Snapping shrimp make flashing bubbles". Nature, 2001; 413 (6855) 477-478. DOI: 10.1038/35097152

  • S. N. Patek & R. L. Caldwell. "Extreme impact and cavitation forces of a biological hammer: strike forces of the peacock mantis shrimp Odontodactylus scyllarus". The Journal of Experimental Biology, 2005; 208 (19) 3655-3664. DOI: 10.1242/jeb.01831

  • Xin Tang & David Staack. "Bioinspired mechanical device generates plasma in water via cavitation". Science Advances, 2019; 5, 3. DOI: 10.1126/sciadv.aau7765

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