現代日本の新卒採用という市場が、大学における専門分野の学習を活かす・経験を求める構造になっていない状況が、全てではないにせよ実態に近いと思います。一方で専門性として深く分化し専門学部や専門学校が確立され、実際の職能との連動性が高い分野もあります。医学部などがわかりやすい例です。

総合職というキーワードを聞いたことがあると思います。これがまさに、学生に培ってきたことを問うのではなく、入社後にゼロベースで教育していく前提を含んでいます。多くの人は「そういうもの」と認識して折り合いをつけているのではないでしょうか。

第二次世界大戦の終戦後、日本は高度経済成長期を迎えましたが、これには当時の教育制度が大きく影響しているという考察があります。規律と集団性を重んじ、個の能力を活かすより画一的な教育を施して、1つの環境で勤め上げることを是とする教育は、戦後の復興に向けた産業の急速な成長を支えました。しかし現代においては、複雑化の一途を辿る様々な産業に適さず、正社員雇用の保護と共に既得権益の滞留を生み出し、人材流動性の低下ひいては産業構造改革の抑止力に繋がっていると考えます。

日本でも徐々にメンバーシップ型ではなくジョブ型の雇用にシフトしつつあります。専門性の高い人材を確保することで事業の変革を促すことが必要であり、既にソフトウェア開発市場では顕著ですが、今後も象徴となる専門分野が増えていくでしょう。その結果として、より将来を見据えた専門分野とキャリアの選択のリテラシーが高まっていくことを期待しています。

1年前7か月前更新

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