「クラメール・ラオの不等式」の下限や「統計学奥義(※)」からすると、AIや機械学習による統計的推定には「原理的な限界」が存在していて、これは量子状態や量子情報、物理現象の方程式についても同じ制限を受けると思うのですが、 この場合、次元数の増加/超多体系になればなるほど、この下限・原理的な限界に基づく「統計的な予測の不可能性」が指数的に増大(次元の呪い・計算量爆発)するので、 一定範囲以上の時空領域に対する事象の推定については「原理的に不可能(偏差が大きすぎて、”統計的推定”の意味が実質的には無効になってしまう)」になるのでしょうか?

あるいは物理での「エーレンフェストの定理」のように「偏差を無視して期待値だけ扱う」という形式でも、現実世界での推定では問題ないのでしょうか(それほどまでに偏差の影響が極端に小さい)?

または、偏差よりもむしろ「(統計学的な)交互作用」による影響の方が大きいので、こちらの方の次元の呪い・計算量爆発の方が、「統計的な予測の不可能性」に寄与しているのでしょうか?

http://watanabe-www.math.dis.titech.ac.jp/users/swatanab/bayes070.pdf  の「p29」 「自由エネルギーの最小化 = 知識の発見」と「交差検証・情報量規準の最小化 = 高精度予測」については「両立しない」(AIC赤池情報基準とBICベイズ情報規準の "同時最適化" が不可能)

残念ながら私の読解力では,質問者の方が上の質問文で何を想定しておられるのか,をうまく汲み取ることができませんでした.

  • 一般に,統計的推論には原理的な限界が存在する.統計的な物理理論(確率熱力学,統計力学,量子力学等)については,同様の制約が存在する

    同意します.統計的推論にかかる一般的な制約が,統計的な物理理論〜物理法則に対して強い拘束条件として働いていると思います.

  • 物理系の自由度〜次元数が増加するほど,統計的推論の難しさは増加する

    物理系の自由度〜次元数が増加するほど,統計的推論の難しさは増加する傾向は確かにあると思いますが,予測対象や推論の設定次第では,むしろ自由度〜次元数が増加するほど,予測が簡単になる場合もあると思います.例えば,理想気体を構成する粒子1つ1つの軌道を計算することは困難ですが,全体のエネルギー分布や圧力等を予測することは簡単にできますよね?

  • エーレンフェストの定理のように,偏差を無視して期待値だけ扱っても現実世界での推定は問題ない

    エーレンフェストの定理は,私の好きな定理ですが,この定理はシュレディンガー方程式から古典的な運動方程式を導出する道筋の1つを与えてくれます.偏差を無視して良いかどうかは,物理系の設定によりますね.ブラウン運動のような確率的な揺らぎ,波動関数で記述される量子ゆらぎ等をミクロ系(物理量の変化速度は速い)として扱い,観測者(人間)がアクセスできる実験装置等をマクロ系(物理量の変化速度は遅い)として扱う場合,観測者(人間)には高速で変化し続ける揺らぎ〜偏差は捉えられず,期待値の変化しか実験的に識別することができない,等々の設定を作ることはできます.

2024/01/31投稿
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