間違った情報には接したくない、正しい情報だけに接したい、というのは無理な話なので、自分自身が真贋を判断できるようになるしかないかなと思います。

S/MIMEに関しては、基準となる仕様はRFC8551やRFC5751になるので、これらを読めば良いと言い放つ人が専門家には多いのですが、RFC原典を読むというのは中々しんどいことなので、今回の指摘の発端となった以下の記事をまずは読もうということになります。

https://qiita.com/angel_p_57/items/aa6b58cf7130006810b5

IPA試験問題不備(令和6年春期ネットワークスペシャリスト午後2) - Qiita

はじめに背景去る2024年4月21日に、令和6年度春期の情報処理技術者試験の各試験が実施されました。その中でネットワークスペシャリストの午後2で、デジタル署名に関する記述式の出題があったことを…

qiita.com

このangel_p_57氏の記事にしても、そんなに簡単ではないわけですが、それでもRFC原典を読むよりはかなりハードルが低いです。なので、「このレベルの文章であれば頑張れば読める」という状態に到達することが目指すべき最初のステップになります。そのためには、暗号(対象分野)にまつわる基礎知識と、日本語文章を読解する能力が必要であるわけですが、多くの方がとりわけ後者、すなわち国語力が不足しているために、ついついとっつきやすい入門書(サルでも分かる○○、みたいな)や、YouTube動画などをみて分かったような気分になってしまうのだろうと思います。

つまり、記事等の真贋を見極めるためには、記事のロジックを自分で再証明する必要があり、そのためには、前提となる知識や、ロジックを展開する国語力が重要ということになります。

一般的に、学術論文には非常に多くの参考文献が参照されていて、これは「前提となる知識」の提示であるわけですが、とっつきやすい入門記事などだとこの種の引用や参照はほとんどなく、結果だけが書いてあることが多いですよね。その分記述がコンパクトになり読みやすいわけですが、ロジックを自力で再証明しようとすると、前提から調べないといけないので実は逆に手間が掛かるわけです。そういう目で前述のangel_p_57氏の記事を確認すると、リンクの形で参考文献が多数提示されています。参考文献が多ければ即正しいとは言えませんが、まずは自力で検証できる文章を読む習慣をつけることが大切だと思います。

そのうえで、批判的に文章を読む、すなわち「この記述は本当に正しいのだろうか」という目で文章を読む訓練をするとよいと思います。

4か月

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