最近は高級レストランのシェフがお店にだす料理の調理工程や、大衆食堂の仕込み〜営業風景まで、動画共有サイトで見れるようになりました。これによって素人では分からなかった飲食店の裏側がイメージできるようになりました。しかしそれと同時に新たな疑問もわいてきます。

高級レストランでは、珍しく高価な食材を複雑かつ長時間の調理を手間暇惜しまず費やしてようやく一品となります。大衆食堂では食材一つ一つは安価であっても、大量多品種を高速で仕込み、押しかけるお客さんに滞りなく提供しています。

疑問というのは、

一日にどのくらいの食材を仕入れるのか、ロスはどのくらいになるのか。まとめて下ごしらえをする場合はどのくらい仕込むのか、日持ちはどのくらいするのか、ロスはどのくらい出るのか。どこまで下ごしらえして提供直前でどのくらい調理するのか、作り置き感とオーダーがはいってからの提供スピードまでのバランスを、どのように取っているのか。等々です。

部外者の素人が、これらをイメージできる方法はあるのでしょうか?

「そんなことを知ってどうするんだ?」

という第三者の声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。僕はわかります。マニアとはそういうものです。

80年代に一世を風靡したホイチョイプロダクションの「見栄講座」という本があります。世の中の様々な場面での見栄の張り方が書かれているそうです。

先日、その一部を見せてもらう機会がありました。フランス料理店でいかに見栄を張り、そして「女性をおとす」か、という、表面的には最高にゲスな内容でした。

しかしその人を食ったような文章の行間からは、知性と教養、そしてレストランへの愛がドバドバ漏れ出ており、なるほどこれは単なる生臭いハウツー本ではないんだな、と感嘆しました。

その中に、フランス料理店の店選びにおいては、グルメガイド的なものよりむしろ業界専門誌を読め、という一節がありました。これは余程のレストラン好きでないと辿り着けない結論でしょう。

質問者さんはもちろん見栄を張るのが目的ではないでしょうが、このアドバイスはそのまま生きると思います。

飲食の業界専門誌には、一般書には絶対出てこない、オペレーション、原価設定、仕入れルート、経営などのことが具体的に店ごとにも書かれています。

例えば柴田書店で言うと、「月刊専門料理」では高級レストランのことが、「月刊食堂」ではカジュアル店やチェーン店がそれぞれ対象となっています。他にもカフェやパティスリーの専門誌などもあります。

特に「月刊専門料理」は、食材や料理技術そのものにも触れられており、めちゃくちゃ内容が濃いです。ぜひバックナンバーをチェックしてみてください。

1年

利用規約プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください

イナダシュンスケさんの過去の回答
    Loading...