あらゆる食材や料理は、価格に伴い品質が上がっていきます。しかしあるラインで「もう充分おいしい」という、言うなれば「カンストライン」が訪れ、それ以上の課金はあくまで「好みの問題」になります。

例えば100円以下で目玉商品として扱われている豆腐より、200円の豆腐は確かにおいしい。しかし300円を超えると今度は、人によっては濃くてクドすぎたり、でも人によってはそれがおいしい、みたいにあくまで好みの世界の話になります。

調理済み冷凍食品なんかは、更にわかりやすいです。普通にはなかなか売っていないかもしれませんが、業務用冷食の最安値ラインは、こう言ってはなんですが信じられないくらいマズいです。ある意味仕方がありません。それらは、材料を買ってきて自分で作るより安いのです。

それが、価格が高くなるにつれ目に見えておいしくなります。そして、概ね最安値商品の3倍くらいで何故か急にマトモになります。材料から自分で作るのの2.5倍くらいのコストを見込めば、それとそう遜色ないものが得られるとも言えます。そのあたりがたぶんカンストラインで、その上はまた好みの世界になります。

食肉加工品もこれに近いと思います。そして鮮魚などはカンストラインがもっと高いです。スーパーで売られているものは(もちろんそれはそれで充分過ぎるほどおいしですが、それでも)カンストライン以下であることがほとんどで、その上に果てしない世界がある。

逆に納豆は、ほぼ、最低価格=カンストラインだと思います。タレはともかく納豆本体は、高いのにも安いのにも本質的な優劣は無いと感じます。ただし課金を前提とすれば選択肢が広がり、多様な個性を楽しめるようになります。

ちなみに僕はヨーグルトもこの納豆のようなものだと思っていましたが、ある時、某PB商品で極端に安く極端にアレなものに出会い、少し考えを改めました。

 

前置きが長くなりましたが、それを踏まえて調味料の話に行きます。

醤油、味噌、塩、味醂……といった基本調味料は、納豆と同じようなものだと考えていいと思います。世の中は広いので、もしかするとヨーグルトのようなケースもあり得ますが、あってもレアケースでしょう。

ところが、ドレッシングなど加工度の高いものになると、考え方は調理済み冷凍食品などと近いものになります。僕はかつて100円コンビニでものすごい胡麻ダレを買ってしまったことがあります。100円以下で販売可能な胡麻ダレを作れと無茶振りされた開発者が、キレ散らかして開き直ったとしか思えない珍品でした。

なので、優先順位ということで言えば、加工度の高いものから、ということは言えるかもしれません。

もっとも、基本調味料も(納豆も)、課金で選択肢の幅を広げることで、自分の好みによりピタリとハマるものを探すという試み自体は有意義だと思います。僕自身は特に「酢」に対してこれを行うことが多いです。次いで「味噌」です。そしてそれこそが趣味の世界です。

ただしここで気をつけなければいけないトラップがあります。有機、オーガニック、国産、といった、品質向上に対する直接的な影響の見込めないお気持ち要素が、製品の価格だけを跳ね上げているケースが多々見受けられるからです。

ただしこれもそう単純な話でもなく、お気持ち要素で価格を上げた結果、その他の部分にもコストの余裕が生まれ、結果的に良いものになることもまたよくあるからです。なので結果的にそこに課金するのもあながち無駄とは言い切れない。これは加工度の高い食品でも同じです。

もうひとつ、基本調味料に限って言えば、銘柄をコロコロ変えるのはあまりお勧めしません。なので無理なく使い続けられる調味料を選択すべきです。そう考えると、あまりレアなものや豪華すぎるものをそこにポジショニングするのはリスクが高いです。

そしてその基本調味料やその他の(一般的な)食材の組み合わせで、タレやドレッシングなどの加工度の高い調味料を手作りすれば、それはその時点でカンストラインを悠に超えることになります。ハズレを掴む可能性が理論上ゼロになるとも言えます。難易度は決して低くないですが、あえてそこにリソースを割くのは割とおすすめです。

1年1年更新

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