この質問に答えるには、その前提を十分に確認しないといけないね。「光速で走れる」、あるいはそれに近くて光速で移動できるという能力を持つヒーローがいたとして、それは「光速とぴったり同じ」であるのか、もしくは「光速に近いけど光速じゃない」のどちらかで話が全く変わってくるということだね。

まず、移動速度がぴったり光速であるヒーローの場合。これはかなり重大な問題に陥るよ。というのは、光速で移動できる物質は質量がゼロでないといけないという制約があるからなんだよね。もし光速以下の状態のときに質量 (=体重) がゼロではないヒーローが光速になろうとすると、加速に必要なエネルギーは無限大になってしまうよ!そしてヒーローの質量も無限大となるので、走るために地面を蹴ったり、その場に空気などの何か別の物体に衝突した瞬間、発生するエネルギーも無限大となるので、絶対に光速で移動してはいけない!宇宙そのものが滅びちゃう!ってなるよ。逆にこの大災害を防ぐとなると、ヒーローの質量はゼロということになるけど、だとすると今度はヒーローは光速でしか移動できず、減速ができないという別の問題に陥ってしまうよ。なのでヒーローは事件現場に誰よりも最速でたどり着くけど、逆に最速で離脱してしまうことになるよ!更に、速度が速いほど相対的な時間の流れが変化するけど、光速の場合には自分以外の時間経過が無限大に加速してしまうよ。よってそのヒーローにとっては、宇宙の誕生から終焉までが体感的に0秒で終わってしまうので、ヒーローとして活躍できるかは限りなく怪しいことになるね。

一方で移動速度が光速に近いけど光速じゃない場合。この場合、先述の無限大の問題は解決し、有限に落ち着くよ。一応、光速に近いと質量は増加し、例えば光速の99%で移動すると質量は50倍ほどに増加するけど、運動エネルギーは質量より速度の方がずっと重大なので、そちらの方が影響が大きいね。そしてもちろん、重大な問題が発生するよ。ただ走ってぶつかるだけで、100mを10秒で走れる人が体当たりした場合の2京倍ほどのエネルギーが発生するので、史上最大の水爆を数千発一気に爆発させたのと、あるいは地球史で最も巨大な火山が噴火したのと同じ状況が生まれる……のでうん、現場に駆け付けただけでやはり危険な状況になるのは変わらないね。

ただし、光速あるいはそれに近い速度で走るヒーローが果たして現場にたどり着けるかはかなり怪しいよ。光速はブラックホールの内部以外のあらゆる重力を振り切ってしまうから、一歩でも動いた瞬間、地球に甚大な被害をもたらす大爆発とクレーターを残した後、本人は宇宙のどこかに飛んで行ってしまうよ。果たしてそんな事態をもたらした彼または彼女をヒーローと呼ぶ人はいるのかな……

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彩恵りり🧚‍♀️科学ライター✨おしごと募集中さんの過去の回答
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