彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:相対性理論によれば、速度を持つものは速度ゼロの状態よりも時間が遅れると予言されていて、これは実際に計測されている事実だよ。その方程式によれば、速度が光速に近づくほど時間の遅れはどんどん強くなり、光速にピッタリ等しくなると時間経過は全く停止してしまうよ!
では、もし光速を超えたら時間は逆向きに進みだすのか?という疑問については、現状ではいいえだよ。まず最初に来るのは、質量が光速を超えることに厳しい制約を課しているからだよ。速度が上がると質量が増えるという相対性理論の帰結から、どんなに小さな質量をもつものでも、光速とピッタリ同じ速度になるためには無限大のエネルギーが必要となり、実際には光速を超えるどころか、光速になることすらできないよ。逆に光速で運動するものは質量がゼロな状態でのみ実現可能だけど、質量がゼロなものは光速から加速も減速もできないという別の制約があるよ。この制約を無理矢理破るには、質量が虚数であるものを仮定しないといけないけど、質量が虚数という状態は物理的に意味を持つのか?ということ自体に強い疑問を抱かないといけないよ。あくまで方程式上は存在できるけど、物理的に意味が存在するのかは別問題だからね!
では、仮に質量が虚数な状態を許容するとどうなるのか。そういったものは光速以下に運動速度を下げることは不可能だけど、もっと奇妙なことに、時間の進み方の倍数が虚数になってしまうよ。質量が虚数と言うのもそうだけど、時間の進み方も虚数の倍数というのは極めて想像しがたいね。それは時間の逆行を意味するのか?そもそも何らかの物理的意味を持つのか?というところに疑問を持たないといけなくなるよ。
一方で、時間と空間の座標をうまく取ると、虚数を出さずに超光速運動を実現することができるよ。この座標をとった場合、時間の進み方がマイナスの値になるので、いかにも時間が逆行してそう!になるよね。超光速で時間を遡れるという説明は、大抵これを下地に話しているよ。ただしこれは、正確には何が時間を逆行しているのかをきちんと考えないといけないね。
例えば、宇宙船が地球から別の惑星へと往復する様子を見ていると考えてみよう。光速以下の移動速度の場合、行きも帰りも普通に見えるよ。つまり、宇宙船は地球を離陸し、惑星に到達した後、再び地球に着陸する、というのが連続的に見えるよ。では、光速と同じ速度で移動する宇宙船だとどう見えるのかというと、行きは順番通りに見えるけど、帰りは一瞬で全ての状態が見えることになるよ!宇宙船が
"見える"
というのは、宇宙船から放たれた光が観測者に到達した瞬間であることを意味するので、宇宙船が光と同じ速度で運動していると言うことは、帰り道の全ての瞬間に放たれた光は、宇宙船と全く同じ速度で観測者に向かうので、結局宇宙船が着陸した瞬間に全ての映像が届いていることになるからね!
では、光の速度を超えて宇宙船が飛ぶとどうなるのか?宇宙船は放った光自身を追い越してしまうので、帰りの様子は宇宙船が着陸した後に、宇宙船が観測者に近い位置にあった光を順に受信することになるので、宇宙船の帰り道の様子を逆再生しているように見えるはずだよ!つまり、宇宙船自身は時間を遡っていないものの、宇宙船の運動を観察した様子はまるで時間を逆行して見えるよ!これは光速よりちょっと速い場合に起こる現象で、更に速度を速めてしまうともっと奇妙なことが起こるよ。宇宙船は
"離陸するより前に着陸"
し、惑星への往復旅行の逆再生を観た後に、実際の宇宙船が離陸する様子を観察することになるよ。明らかに奇妙だよね!ただ、これはタイムパラドックスを生じそうだけど、それを抜きにしても、実際に宇宙船が時間を遡ったことにはつながらないよ。宇宙船の外部からの観察が奇妙に見えるだけで、宇宙船そのものは往復の距離をその速度分の時間をかけて進むにすぎないからね。だから座標の取り方による時間逆行は、あくまで見た目の問題であると捉えることができるよ。これは光速度の正確な制約である
"光の速度を超えて情報が伝達することはできない" というのにも繋がるよ。
結局のところ、光速を超えるには方程式に現れるいくつもの奇妙な状態を克服する説明をしないといけず、そしてそれを無理矢理乗り越えたところで、結局のところ時間を遡ることはできそうにない、ということになるよ。