強みは「人より優っていること」で、作家性は「癖」だと思います。読み方は「くせ」「へき」どちらでも当てはまります。
強みは縦軸です。例えば「女の子の絵が可愛い」みたいなことです。
作家性は横軸です。例えば「〇〇さんの描く女の子は全員ムッチリしている」みたいなことです。
強みは伸ばしうるし意識していいと思います。作家性は「作品を良くしようとすると自然と出てしまうもの」なので、意識をしたり作り上げたりしなくていいと思います。作家さんや作品の「人となり」のようなものです。それぞれの作家さんに必ず備わっているものですが、その中でも唯一無二の絵柄・タッチ・展開・世界観などの「強烈な人となり」がある作家さんが「作家性がある」と評されたりします。その作家性がたまたま多くの人に刺さるものであれば、強みにもつながりますし、そうでない場合は「癖が強くて刺さる人には刺さるがとっつきづらい」ということもあるので一長一短です。なんにせよ、人となりなので受け入れるしかありませんし、求めることもできません。
推測ですが「作家性がないと言われたので企画案を数多く出すことになった」という作家さんの場合は、多くの人に突き刺さるような癖がない(と、担当は感じた)が、アイデアを多く出せるという強みがあるのでそこで勝負しよう、となったのではないでしょうか。(と、担当は感じた)とわざわざ入れたのは、作家性というのは客観的に測定できるものではなくて、誰かに見出されて初めて力を発揮するものであり、見出されなくては力があると認識できないものだからです。なんか俺の描く女の子はムチムチすんだよなー、そういう子が好きだからかなー、もうちょいスラッとした子が描けたほうがいいのかなー、という人が「〇〇さんの描く女の子ムッチリしてて最高ですね!」という編集者に会った時に作家性は初めて立ち現れて、その力を発揮します。
世の中で物凄くウケている作品の多くが冷静に眺めてみると、いや、冷静に考えたらこれめちゃくちゃ変な作品だな、ってことがあります。その作品を世に出した編集者かプロデューサーが、まだ野のものとも山のものとも知れぬ変な作品に、これアリですよ、アリ!とあたかも全国民が見るべきみたいな風に送り出したんだろうなーと思うと尊敬します。
やっぱり編集者の一番尊い仕事は、ナシをアリにすることで、一番気をつけなきゃいけないことはアリをナシにすることだな、と。
話を戻すと、作家性については意識も作り上げもせず、なんか知らないけど思わぬところを褒めてくれる人と出会うことを目指すとよいかと思いました!