僕の専門領域ではないですがプロの方の回答が出るまでの間、門前の小僧が習わぬ経を読んでみます。

トランジスタを小さくする事はそれ自体が目的ではなく、安く高性能なトランジスタを追い求める過程でとる手段の一つに過ぎません。微細化競争ばかりが槍玉に挙げられますがそれでなくても半導体開発は(光学に限らず)現代の科学の結晶の一つです。

まず大前提として仮に原子一個レベルにまでプロセスが微細化しても一つのチップの上に何億規模でトランジスタを載せる以上はその故障率や歩留まりに関してはトランジスタ一つあたり99.999999%の良品率でも足りません。微細化が終わっても歩留まりとの戦いはほぼ終わらないことでしょう。半導体の製造過程自体を改善して良品率を上げることもあるでしょうし、一部に不良なトラジスタが入っても完全に動くように回路に冗長性を持たせる技術も改善の余地があります。

他に挙げられるのが素材の改善です。もう10年以上前になりますが高誘電率材料によってゲート絶縁膜を厚くすればリーク電流が減るというHigh-Kメタルゲートはintelの45nmプロセスのときには既に量産に入っていたとされています。

https://www.jstage.jst.go.jp

https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/76/9/76_1006/_pdf

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1212/iedm03.htm

他にも例えばトランジスタの形自体にも工夫の余地があります。

https://ascii.jp/elem/000/000/884/884429/

半導体プロセスまるわかり 3次元トライゲートことFinFETの誕生 (1/3)

HKMGの採用により、ゲート・リーク電流対策に一応のめどがついたインテルであるが、今度は比誘電率の高い材料が見つからないという別の問題が出てきた。それを解決すべく考案されたのが3次元トランジスタである。

https://ascii.jp

これらの研究は終わったという事は無く、業界の人々はより良い素材をより良い形で量産に適した製法で製品化できるよう今も研究を重ねています。

CPUそのもののアーキテクチャも日夜改善が繰り返されており、ほぼ同一個数のトランジスタを使いながらもより高い処理性能を実現する分岐予測とか投機的実行とかSIMDとかやることは山ほどあります。

まとめると、微細化が仮に終わってもトランジスタの性能改善はまだまだ研究余地があるし、トランジスタの有効利用法に関しても大きな研究余地があります。

10か月10か月更新

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熊崎 宏樹さんの過去の回答
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