作家の日常。これは、人によって本当にまったく異なると思います。よく受ける質問に「夜中ずっと起きているんですか」というものがありますが、これすら人によって違います。以前、ある作家の方は編集者とはまったく会うことはなく、朝早くにお宅を訪問すると、郵便受けに、書かれた原稿用紙が一枚、二枚、という風に小出しに入っていて、一冊の本が出来上がるまで、編集者は毎朝、そのお宅を訪問しなければならなかったと聞いたこともありました。
私の場合はいたって普通で、朝起きて、ゴミを出して、朝の連続ドラマを見て、少しぼんやりして、九時過ぎくらいに書斎に行く、お昼前には書斎から出て昼食を取り、また午後になると書斎に行くという、いたって普通の日常です。お勤めの方と違うのは、自宅が仕事場なので通勤の必要がないということでしょうか。以前、都心のお洒落な街のカフェで、窓際の席を陣取ってさらさらと原稿を書かれている作家の方を見かけましたが、私はそういうカッコイイことも出来ません。今の時代ですから、ノートパソコンを持って、公園の緑を楽しみながら執筆することも可能でしょうが、私にとってはノートパソコンはディスプレイとキーボードの距離が近すぎて使いづらく、結局、今でもデスクトップのパソコンを使用していますから、書斎から離れることが出来ません。つまり、旅先での執筆なども出来ないということになります。
用事のある日は外出をしますし、途中で買い物をして帰ります。編集者の方との打合せなどがあるときには、大概、夕方から出かけていき、食事なども一緒にして、帰ってきます。若い頃は、その流れでカラオケに行き、帰ってきたら朝刊が届いていたことなどもありましたが、コロナ禍以降、そういうこともすっかり途絶えてなくなり、そのうちに年齢も重ねてきましたから、早々と切り上げて、さっさと寝てしまいます。その繰り返しです。
もちろん、ヨットを楽しんだり、ゴルフ、写真、その他の趣味をお持ちの方も少なくないと思います。私も旅が好きですから、出来ることならたくさん旅をしたいのですが、何しろ他の職業の方々と同様に、年齢と共に身体のあちこちに不調が出たり、面倒な雑用が入入ったり、背負わなければならないことも多くなってきますから、そう身軽には動けなくなってきました。今は先月、尿管結石の手術をした愛猫がすっかり甘えん坊になって帰って来ましたので、彼女の体調が落ち着き、不安がなくなるまでは、簡単に旅には出られないと思っています。
そんな具合です。
ね? 面白くも何ともないでしょう?