最も密度の高い物質……これはかなり難しい質問だね~。っていうのは、どういう条件を前提するのかによって、これの回答が変わってくるからだよ。
標準状態、つまり室温と大気圧において最も密度の高い物質は、通常はオスミウムであると答えるよ。その密度は22.587±0.009g/cm³なんだよね。普通の物質は原子でできている以上、これより高密度な物質があるとすれば、それは極めて不安定であり、とても塊が合成できない超重元素に限られることになるよ。今のところ一度に1個しか作れないので密度を測ることはできないものの、ハッシウムは27~29g/cm³、マイトネリウムが27~28g/cm³と予測されており、元素としては一応合成済みなので、これがもう少しだけ高密度である、とひねくれた回答はできなくもないね。ちなみに周期表を見ればわかる通り、ハッシウムはオスミウムの下、マイトネリウムはイリジウムの下で、それぞれ結晶構造が類似しているという予測から考えられているよ。更なる蛇足だけど、この考えを推し進めれば、それぞれの更に下側に位置する162番元素は45g/cm³、163番元素は47g/cm³と予測されているけど、これははるかに重くて当面合成できるようなものじゃないから、その意味では質問条件に全く適合しない、とも言えるね。
これより高密度な物質はムリなのか…といえば、実はそうでもないよ。というよりも、少しひねりを加えれば、今ある物質に高密度な部分を見いだせるんだよね~。それは原子核!原子の質量の99%以上は原子核が持っているので、100兆g/cm³ (1億t/cm³) の密度にもなるよ!ということで、何もしなくても原子核はこれだけ高密度な物質だ!と言える気はするんだけど、ちょっといじわるかもね……ただ、今の粒子加速器は原子核同士をぶつけてクォーク・グルーオン・プラズマという、原子核の数倍にもなるとんでもなく高密度な状態を生み出せるので、それが人工的に作れる最高密度のモノだと言えるよ。これは単に高密度なだけでなく、原子核を作っているクォークやグルーオンと言った素粒子の性質を探ったり、宇宙がこの程度の高密度な時代だった初期宇宙の探索にも使えるなど、結構研究対象としても興味深いものだよ!