私は『トップをねらえ!』をよく知らないから、そちら方面で解釈違いがあったらツッコミがほしいかな💦ちなみに全長は7万kmじゃなくて7万m=70kmだと思うけど、今回の回答ではあまり関係ないので無視するよ。

素粒子は分割不可能なので破壊できない、というのはいい着眼点だと思うけど、素粒子物理学の目線からヱルトリウムを観るといろいろツッコミはしたいところだね。

まず、素粒子の大きさというのが非常に考えづらいところだよ。素粒子の基本的な理論である標準模型は、種類に関わらず素粒子の大きさをゼロと仮定しているよ。ただし本当にゼロの場合、相対性理論との統合でいろいろ不都合が出てしまうので、標準模型を超える理論では大きさを有限と仮定しているものもあるよ。たとえそうだとしても、大きさは10⁻³⁵mのプランク長だと見られているよ。これは素粒子の姿を振動する1次元の "ひも" であり、素粒子の種類の違いはひもの振動と形 (1本のひもか閉じた環か) の違いであるととらえているので、素粒子の種類が変わろうとも大きさは変化しないよ。このため、文字通り目に見える大きさ、マクロサイズの素粒子というのは想像しがたいよ。

そして、これは明らかに蛇足だけど、標準模型や拡張理論をいくら眺めてもヱルトリウムなる素粒子は存在しないから、これらの理論でヱルトリウムは適用できないよ。ないものを適用しろという方が無理ゲーって話だからね。

とはいえ、本当ならこの質問への回答は「ヱルトリウムなる素粒子は存在しないので理論も適用できない。」と30文字足らずで終了するはずだけど、それじゃあつまらない。私が調べる限りだと、ヱルトリウムが素粒子なのは船殻部分であり、純粋数学を用いて艦の周りの物理法則を書き変えながら航行する思考主推進機関なる装置があるって書いてあるね。正直、これはデウス・エクス・マキナのような気がするけど、一応この設定を生かせば抜け道はあるよ。

まず前提として、素粒子の大きさがゼロなりプランク長なら、なんで素粒子でできた物質はずっと大きいマクロの大きさを持つんだ?って疑問は出てくると思うよ。これは素粒子本体の大きさというより、素粒子の相互作用の結果であると言えるよ。この宇宙には4つの基本相互作用があり、力のやり取りで引き合ったり反発したりするよ。逆にこれがなければ、お互いに幽霊のようにすり抜けてしまうよ。つまり基本相互の及ぶ範囲が、素粒子の見た目上の大きさであるととらえることができるよ。ということで、ヱルトリウムの中心に素粒子ヱルトリウムを配置した上で、電磁相互作用の及ぶ範囲が船殻部分のみにあるという非常に特殊な場を設定すれば、船殻がヱルトリウムでできている、という設定に合致すると思うよ。ただ、これは相当都合のいい設定だよ。理想的にはヱルトリウムの相互作用が及ぶ範囲は球形をしているはずで、とても船の形には見えないし、開口部も存在しないよ。また、普通の電磁相互作用は距離による減衰であり、素粒子本体に近づけばどんどん強くなるよ。これでは内部の方がもっと硬いことになってしまい、船として乗り込むことは不可能になるよ。ということで、素粒子本体から多少離れた部分ではほとんどゼロで、複雑な形状で穴のある船の外側の形の部分だけ急激に強まり、そして船の外に出ると再びゼロになるという、非常に都合のいい性質を持っている必要があるよ。なお、この設定だと船殻を破壊することはできなくても、十分な速度で飛んでくる物体や十分な強度を持つレーザーなどは内部へと貫通する可能性があるよ。電磁相互作用の反発力を上回ればそこを抜けられるからね。

そして、純粋数学による物理法則の書き換え、これを船の推進だけに使うのは非常にもったいない!というよりも、素粒子ヱルトリウムをこの宇宙に存在させるには、物理法則の書き換えは必須だよ!標準模型なり拡張理論なりが素粒子の存在を予言できるのは、非常に簡単に言えば現在の宇宙の物理法則を前提に、数学による計算で算出ができるからだよ。逆に物理法則を書き換えることができるなら、ヱルトリウムという素粒子が存在する宇宙をその場で創造し、ヱルトリウムを維持することが可能になるはずだよ。理論がなければ理論を作ればいいじゃないか、という力業ではあるけど、これによってヱルトリウムを作ることは可能になるよ。

でも、この回答というか設定は、デウス・エクス・マキナ的でありズルいと思うよ。もし物理法則を書き換えて船体を作れるなら、物理法則を書き換えていくらでも強い船を作れるからね。ぶっちゃけた話、物理法則を書き換える装置が停止したら、ヱルトリウムはたちまち崩壊してしまうので、これはかなり危ないよ。むしろ、現在の宇宙で崩壊しない普通の物質を作った上で、船の外側を物理法則を書き換えた膜で覆った方が安全ともいえるよ。弾丸にしてもレーザーにしても、それが攻撃として通用するのは物理法則に従っているためで、それらが安定して存在しない世界を船の外側に膜状に覆っておけば、どんな攻撃も分解して無効化する "防御" ができるからね。ヱルトリウムは設定上、船殻自体は破れなくても、攻撃が貫通する可能性はあることから、こっちの方がよほど安全だよ。そして、物理法則を書き換える装置が停止したとしても、普通の物質でできた装甲はフェイルセーフとして働くし、逆にそのすきをついて攻撃する、あるいはスパイを送り込んで停止させる……みたいな物語を進めることは可能だからね。この回答は物語の根幹設定そのものを崩壊させる恐れがあることから、あんまり真剣には捉えないでね。

1年1年更新

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彩恵りり🧚‍♀️科学ライター✨おしごと募集中さんの過去の回答
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