機械学習エンジニアのキャリアとして、幅広く色々な業務・課題に取り組んでいくgeneralistを目指していくか、あるいは特定の武器(実装力や数理力など)を駆使して要所で活躍するspecialistを目指していくかは大きな問題だと思います。さらに近年では生成AIの台頭などもあり、generalist / specialist問わず需要の高いスキル要件は毎年のように刷新されていっているため、将来的な展望も踏まえキャリアを考えていくのはますます難しくなっていっています。去年までは一部のspecialistの要件だった技術が一般書でも解説されるようなレベルのgeneralな知識になったり、あるいは逆にspecialistも特定の領域に固執せずにより広い視点で課題を俯瞰できるような視座が求められたりします。

1年目の時点でどちらの方向性を目指すのか、ということに関してですが、個人的な意見としてはあまり早い段階から選択をしない方が良いのではないかと思っています。How(どのようにやるか)よりもWhat(何をやるか)の方がはるかに重要で、(自身含む)会社・組織・チームにとって最も重要な課題に取り組んでいくのが大切です。個人的な経験を振り返ってみても、「チャレンジングな課題をどのように突破しようとしたか」によってその人の得意な能力(=伸ばすべきスキル)というものが明らかになっていきます。例えばある機械学習のタスクがあり、何かを精度高く予測する手法を開発する必要があった場合、アルゴリズム的な観点で精度改善を目指すというだけではなく、戦略的にデータを獲得するエコシステムを考える、長期的な保守運用を想定した上で拡張性の高い実装を模索する、など様々なアプローチが考えられます。どこに対して課題意識を感じ、どのような方法でそれを突破したかによって、その人の専門性や経験が培われるということになります。

また、補足として一般的にspecialistを目指すのはそれなりにリスクが高いことを理解した方が良いと思います。(あくまで私見ですが)例えば「テーブルデータのスペシャリスト」や「教師なし学習のスペシャリスト」といったものはあまりオススメしません。こういった領域はそれだけに閉じたものではなく、様々な方法論や課題と密接に関わっているためです(教師あり学習との関係性を知っていなければ教師なし学習を深く理解することはできない、など)。変に自分の武器やアプローチを限定せず、まずは意義のある課題を見つけることに注力することが良いと思います。

2024/03/27投稿
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