はじめまして。

学部生のうちから将来的に天文学の研究をしたいと思っているなんてすごいですね。

「博士号を取れるのか不安」とありますが、博士号に至る道程は長く、まずは大学院の修士課程に合格し2年後に修論を書いて博士課程に進学、その後、3年を経て博士論文を執筆し、博士号を取得というのが一般的ですが、その5年の間に「自分が博士論文を書けるかどうか」「博士号を取得した後、アカデミアの研究者の道に進めるか」は自ずと見えてきます。ポストがあるかどうかは、学部生のうちから気にすることではなく、むしろ大学院に入った後は、目の前の研究テーマをこなせるかが重要になってきます。私を含め、話を聞いていると大学院生活は精神的に辛いと感じる人は多いです。これは、大学院という決められた年限の中で結果を出して学位論文を執筆しないといけないことからくるプレッシャーが多いです。これに関しては、避けようが無いことなので、「とにかく必死に研究して結果を出すしかない」という事がまず大事で、他には「自分の悩みを話せる人を作る」「大学外にもコミュニティーを持つ」「趣味を持つ」なども重要です。

また、仮に大学院に入って、自分が研究者に向いていないと気づいても、民間就職の道はいくらでもあります。大学院で培った能力は民間企業でも活かされます。「自分には研究職しかない」という近視眼的な考え方を捨て、視野を広く持つ事が大事だと思います。アカデミアの外にも色々な可能性や面白いことは溢れていると、民間に行った方々の話を聞いていると感じます。

日本の天文学の水準は高いです。特に高赤方偏移銀河の観測は世界をリードしていると言っても良いです。そんな中で生き残りを目指すのはなかなか厳しい戦いになると思います。私の場合、博士課程の間にヨーロッパに1年滞在して、そこで英語でのコミュニケーションに対する苦手意識を払拭したので、学生のうちから、「ポスドクを海外でやること」は視野に入っており、実際に、学位を取得した後はパリに行きました。ポスドクを2回経験しましたが、その過程で自分の研究者としての実力、ポスト獲得の難易度を考えた時、世界を視野に入れてアカデミア就職活動しないと生き残れないということに気づき、海外の公募にも数多く出しました。特に、アジア圏の公募には注目していました。欧米のアカデミアポスト競争は厳しいですが、アジア圏だと、「知名度が無い」「新規に開校する学科」という理由でそこまで競争が激しくない公募もあったりします。また、日本でのアカデミアポストの競争も相当厳しく、「天文学」という分野でポストを取ること、そもそも大学でポストを取ることが困難なので、最近は、「ちょっと分野をずらして工学部の情報系のポストに応募する」や、高専の公募に応募するというのが戦略的に取られる場合もあります。

アカデミアの世界で研究者として生き残るためには、研究業績も重要ですが、それ以外にも公募で戦う戦略も必要になってきますが、これは学生の内はあまり気にしないで、ポスドクになってから考えることですかね。

2年

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Hayato Shimabukuro(島袋隼士)さんの過去の回答
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