質問者さんは事前知識をお持ちかと思われますので、その知識がなくても家先生の回答が分かる様に補足しておきます。

宇宙の始まりとされるインフレーションやビッグバンの直後は非常に高温で、その頃に宇宙空間に存在していた粒子は全てプラズマ状態だったと考えられています。この状態だと光はプラズマの影響を受けて散乱してしまい、まっすぐ飛びません。宇宙全体が霧がかっていたようなものだと考えてください。

その後時間が経過するにつれ温度が下がっていき、プラズマ状態からエネルギー状態が低くなり、ようやくその時点で光がまっすぐ飛ぶようになりました。これを宇宙の晴れ上がりと呼んでおり、光(電磁波)を利用した観測は宇宙の形成史において全てこの時点以降のものです。宇宙マイクロ背景放射(CMB)は宇宙の晴れ上がり時点での宇宙空間の熱放射(黒体放射)の名残です。

さて話をビッグバンに戻すと、これは宇宙の晴れ上がりより前に起きたことなので、光を利用した観測ではどう足掻いても情報を得る事ができません。そこで重力波の出番になります。

重力波は光に比べて非常にシグナルが弱く、アメリカのLIGOや日本のKAGRAなど、大掛かりな装置を必要としますが、光では得られない情報が得られるという点で大きな特徴があります。例えばブラックホールや、この質問で出てきた宇宙の晴れ上がり以前における重力場の変化、つまりインフレーションやビッグバンによる影響について重力波を通して調べる事ができるようになります。

2年2年更新

利用規約プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください

鵜山太智さんの過去の回答
    Loading...