今回の場合は憧れの雑誌に行くことをオススメするかなぁ…。
大抵の新人作家は、自分の実力を見誤っています。
見誤るのは悪いことではなく、先輩漫画家との実力差に気づけていないからこそ大志が抱けるし、描くモチベーションを持つことが出来たりもします。
根拠のない自信を持つことは凄く大事です!!
さて。
今あなたは、憧れの雑誌はレベルが高いと感じているけど、良い評価の雑誌の方はレベルが低くて、簡単に活躍できると思っているわけですよね。
でもね、あなたが下に見ているその雑誌で長年活躍している漫画家さんは、おそらくメチャクチャ上手いんですよ。
漫画という業界の厳しさを作っているのは、実は「コミックスの値段」です。
他の業界…たとえばファッション業界だと、トップデザイナーの洋服は50万円とか場合によっては2千万円とかの値付けで取引されたり、特別な技術を持つ工房で作られた鞄や着物なども高値で取引されています。
レストランもそうです。一流シェフが手間暇をかけて腕を振るうレストランは1食数万円を取ったりします。
でも、そのお陰で新人も勝負しやすい。
なぜなら、新人はベテランより安い値段をお客さんに対して提案できるからです。
が、漫画の場合は大抵、とんでもない技術を持つベテラン作家のコミックスもデビューしたてのまだまだ発展途上な新人のコミックスも、同じ値段で売られています。
月に3000円のお小遣いを貰っている高校生が、いくら漫画に使えるのか。
私も覚えがありますが、読めるものなら無尽蔵に読みたいけど、月に買えるのは4冊が精一杯だったとします。
毎月大量に出る新作の中で、選ばれる4冊の中に入らなければならない。
新人の作品も人気作も全く同じ値段で買える状況下で、新人の作品が選ばれるってどれほど凄いことかわかりますか?
つまり、あなたがレベルが低いと思っているその雑誌の連載陣は、あなたの憧れの雑誌の作家と同じ値段で勝負して、新人時代に読者獲得に成功し、その地位にいる方々なんです。
あなたが彼らの実力を理解できなかったとしても、とんでもなく上手い方とみて間違いないです。
今あなたは「鶏口となるも牛後となるなかれ」よろしく、憧れの雑誌で後塵を拝するよりも、レベルの低い雑誌で頭を取ろうと考えてると思うんですが、そう簡単には行かない可能性が高いわけです。
憧れの雑誌で苦労するならともかく、レベルが低いと思いこんでいた雑誌で後塵を拝すことになった時、あなたは果たしてその結果をまっすぐ受け止められるでしょうか?
先輩作家の実力を認めて、自分の足りない部分に目を向けることが出来るでしょうか?
私はね…よほどじゃない限り気持ちが歪んじゃうのでは…?と思います。
この雑誌の読者のレベルが低いんじゃないかとか。
読者のレベルが低いせいで売れないんじゃないかとか。
不当に自分が扱われてるんじゃないかとか。
そうやって他人のせいに思えてしまって、まっすぐ頑張ろうと思えない日が来そうで怖いです。
評価をしてくれる雑誌に行ってもいいのですが、その場合は経済の基本を理解しておいてください。
知名度のない雑誌を買ってる読者って、経済の基本から考えて、売れている雑誌を買ってる人より強火の漫画好きなんですよ。
だってマニアックだということなんで。
売れている雑誌に比べて手に入れるのも難しい部数の少ない雑誌を手に入れてるってことなんで。
理論上、マニアな漫画ファンに支えられていないと、その雑誌は成立できないんですよ。
ライト層が知名度の低い雑誌など買うはずないじゃないですか。
どうやってライト層が、有名雑誌より先に知名度の低い雑誌に行き着くんですか?
あなたが憧れている雑誌は当然読んでいて、そこからさらに手を伸ばした先に売れない雑誌というのは存在しているんですよ。
なので、売れていない雑誌ほど、目が肥えた読者ばかりいる雑誌なんだと思って丁度いいです。
そんな難しい場所で頑張るんだ!!と思えるなら、評価してくれてる雑誌に行く方が、すぐ実戦の場にも立てるし良いことずくめでは??と思います。
が。
現状はバカにしちゃってる状況なので…憧れの雑誌で頑張った方が、苦労の仕方が健全でいられるかなぁと思います。
長い目で見て、自分がまっすぐ頑張れる場所を選ぶことを私はオススメしたいです。