最近の台湾の若い人と接点がないので、十数年前の話しになりますが(すみません)
当時私は台湾人の友人がたくさんいて、一緒にアモイへ旅行したことがあったのですね。
その時に、台湾の本省人が3人、外省人の女性が1人だったのですが、そもそも仲が良くて誘ってくれたのは本省人。外省人はその友達の友達みたいな感じで呼ばれていた人でした。
私は、本省人3人とはとても仲が良かったのですが、外省人の女性からはすごく嫌われて、ずっとチクチクと嫌味を言われたり、意地悪をされたり、無視されておりました。
あとで、本省人の人たちから、「彼女は過去に色々あったから気にしないでね」と言われ、説明を受けたのですが、彼女の親は山東省出身の軍人で、台湾に逃げてきてからは国民党の党関係のお仕事?の人だったらしい。一族全員国民党支持の人なわけですが、彼女は子どもの頃に(※たぶん1970年代生まれぐらいの人)、本省人の子どもたちからイジメを受けたとか。まるっきりヨソ者で、言葉も違う(山東省なまりの普通話を使うわけで、台湾現地の言葉ができない)ため、非常に肩身の狭い思いをしたらしい。
私の友人の本省人たちは、心が広くて優しいので、そういう彼女を暖かく受け入れたわけですが、いまだに他の本省人への警戒心はある。
そういう彼女が、なぜ日本人の私を嫌うのか。
私の想像を交えて、本省人の友人たちが教えてくれた話しの断片を組み上げると、彼女は「自分の親たちは日本軍と戦って勝ったのに、大陸からは追い出され、やって来た台湾は元日本の植民地で日本好き。台湾を中国(中華民国)に取り戻してやったのに私達に感謝の気持ちもないし、私が子供の頃にやたらといじめた。なのに日本人は日本人だというだけでチヤホヤされてる。なんだかムカつく!」と考えるらしい。
まぁ、気持ちはわからんでもないです。
ただ、彼女が子供の頃に受けたイジメはかなりひどかったのか、とにかく自分を追い詰めたらしく、自殺を試みたこともあったとか。たぶん、それはイジメだけの問題じゃなくて、自分の家系へのプライド、そして台湾に渡ってからの不遇な扱いから積もり積もった怒りがあって、そういうのが日本人に向けられたのでしょうが。
彼女は、他の本省人の3人に、「日本人は騙すから気をつけろ」みたいなことを言ってたらしく、3人は全然そういうのを気にせず、始終私に気を使ってくれていましたが、結局その外省人がいろいろ引っ掻き回して面倒だったので、そもそも仲が良かった本省人の3人とも、私は会わなくなってしまいました。
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私は、台湾の外省人が全てこんな人とは思わないし、この「彼女」も色々と複雑な人生を送ってきた結果、日本人を憎むようになったわけで、彼女を責めても仕方ないなと思いましたし、私はその数年前の2005年、中国で全国規模で展開された反日デモに、深センと上海の両方で遭遇しておりまして、反日中国人に苦しめられた。その記憶がまだ生々しい時期に、この外省人の彼女と会って、素性を聞いていると、怒るよりも、やりきれない気持ちになってしまったのですね。
台湾の人は日本人の私に優しくしてくれるけど、その一方で日本人に複雑な思いを持っている外省人もいる。私としては台湾が好きで、もう少し深入りしてもいいかな…と思っていた。というのか、その本省人の3人は私が大陸を離れて、台湾に住むことを勧めてくれていたし、1人は私が住む家まで提供すると言っていたのですが、この外省人と向き合うことで、何もかも面倒くさくなってしまいました。
大陸から逃げて、台湾に行ったところで、反日からは逃げられない。日本人への憎悪からは逃げられないわけで、それは大陸よりも台湾の方がマシなのかも知れないけど、私としては大陸から逃げずに、大陸の反日とガッツリ向き合って、克服する方が…またはコテンパンにやられる方が、ずっとマシだと思った。
台湾は台湾で好きだけど、だからこそ「大陸からの逃げ場所」にしたくないのもあった。
だから、それ以来、台湾とのご縁は切れて、行かなくなってしまったので、現在の台湾で国民党支持の若者が、日本にどういう考えを持っているのかは知りません。現在の台湾での国民党支持の人が、私がかつて出会った外省人みたいな人ばかりとも限らないでしょう。私には他にも国民党支持の外省人の友人がいますけど、この人は親日で日本への留学経験もあった。私とも仲が良かったけど、やはり日本への思いの深いところを覗き込むと、単純ならざるものを抱えていた。
私にとっては、そこまで守備範囲を広げてしまうのが辛くて、それだったら大陸で反日の中国人に小突き回されている方が、まだ気が楽だと思いました。
「台湾の国民党支持の若者」にも、色んな人がいると思いますし、彼らのファミリーヒストリーとか、個人の体験、それぞれのエピソードをひっぱりだしてくると、百人百様の思いが出てくるはずでしょう。単純に、親日/反日、民進党支持/国民党支持で、分類できるものではないはずです。
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まだしばらく、中国へ自由に行けそうな状況はなさそうなので、気が向いたら台湾へ行くことになるかも知れません。その時にご縁があったら、台湾の若者からお話を伺ってみようと思います。ちゃんとした回答ができずすみません。