自分の描きたい設定が世間的には嫌われそうだと感じる時、どう「売れ線」とバランスを取れば良いか??というご質問。
これって実はメチャクチャ簡単で有名な対処方法があって、なぜ簡単にできるのに、作者が描きたいものを「好かれないからやめた方がいい」とか言う編集が存在したりする(という都市伝説を聞くだけで、本当はいないのかも)のか永遠の謎と思ってる位です。
その有名な対処方法とは「ツッコミを入れる」ことです。
絶対に聞いたことはあると思いますが、不思議なことに新人作家さんというのは、これを意識している人が少ないです。
「ツッコミ」を入れるためには、そもそも「ボケ」という概念を知っておく必要があります。
「ボケ」とは「一般論とは違う流れを言う」「一般論とは違う流れをする」ことです。
今、あなたが描きたいと感じている「ワガママなヒロイン」や「ヒロインを悪魔や魔王に」「ヒロインが他人を不幸な目に遭わせるキャラ」というのは、「一般論とは違う流れ」です。
つまり、概念的には「ボケ」ということです。
ボケを繰り出した時に、ボケっぱなしだと、読者が作品にツッコミを入れてしまいます。
「そもそもこのヒロインはワガママじゃない?」とか「最悪じゃない??」等々散々なことを言われて嫌われてしまう。
だからこそ、作中でしっかり「ツッコミ」を入れるのです。
ワガママなヒロインに対して、作中でヒーローなのか、脇役なのか、背景演出なのか、はたまた作者自身なのか、なんらか「この悪魔!」とツッコミを入れる存在をきっちり作ってやると、読者は逆にツッコまなくなります。
ヒロインの「ボケ」、つまり今回の場合は「ワガママ」「魔王」「人を不幸にする」部分こそが、その話の魅力と認識でき、転じて「でも、そこが面白いよね、好きだよ」と受け取りやすくなります。
ツッコミを入れることに対して、安易に理解して欲しくないのですが、ここで重要なのは「読者の気持ちに誘導をかける必要がある」「誘導をかけることが可能である」ということです。
ボケっぱなしだと読者がツッコミを入れる、と書きましたが、つまり「読者にツッコミを入れさせることも出来る」ということです。
あえてイライラさせたり、ハラハラさせたり、たとえば登場人物は「良い人」と認識しているキャラを、読者には「コイツはなんか胡散臭い。嫌いだ」と思わせたりすることも出来るということです。
「読者の気持ちに誘導をかける」ためには、そもそも「自分の考えていること」と「読者・他人の考えること」は同じとは限らないということをきちんと認識し、分離して考える必要があります。
「赤くて、丸いもの」と言われて、なにを思い浮かべますか?
リンゴでしょうか?
ピエロの鼻でしょうか?
非常ランプでしょうか?
それは可愛いものでしょうか?
それとも怖いものでしょうか?
ごくごくシンプルな問いですら、人は無限に想像する。
色んな考えが存在する。
だとすると、作者は「自分の思った通りに読んでもらう必要があるシーン」は、そう誘導をかける必要がある。
全コマ、全セリフが「作者としての自分の気持ち」と「読者からどう見えるか」は全然違っている可能性があると認識して、「このシーンは読者にこう思ってもらいたい」という自分の意図通り読ませるための誘導をかけていく。
この意識さえ持てれば、あなたは描きたいものを「売れ筋の作品」として描けるはずです。
一切の妥協をせず、読者が面白いと感じるようにバランスを取れるはずです。
安易に理解しないでと書きましたが、考えすぎるとそれはそれで描けなくなってしまうので、まずはあえて安易にツッコミを入れながら描いてみて下さい。
ぐっと見え方が変わると思いますよ。