技術へのこだわりは不要ですが、良いソフトウェアエンジニアとしてやっていくには良いソフトウェアを書く事にはこだわるべきです。ブログや勉強会は副産物として悪いものではありませんが、ソフトウェアエンジニアの力量は作ったソフトウェアによって論じられるからです。
この話題について言うと、Evan Martinという人が書いたChrome, 10 years later という記事が印象的でした。Google Chromeの成功を支えた重要な要素に「ダークマター」の存在があったと明言している点が興味深いです。ダークマターとは人類が未だ観測できていないが質量を持っているとされる天文上の物質の事で、Chromeの開発者の中にはもちろん有名な人もいるがそれ以上に「ブログ等にはほぼ顔を出さないが黙々といい仕事をするソフトウェアエンジニア」が社内にたくさんいて成功を支えたという事をダークマターと呼んでいます。
Googleは10万人規模の社員がいる会社で、もちろん社外にも名前が知れている有名な人も所属していますが、それ以上に無名だけど腕の良いソフトウェアエンジニアがたくさん所属しています。僕自身、インターネット上への露出が相対的に多い方ではありますが、社内では僕の10倍以上の貢献をしながらSNSにはほぼ現れない人は珍しくありません。そういう人と話してみても誰しもが特定の技術へ深いこだわりを持っているとは限らず、仕事は仕事、プライベートはプライベートで切り分けてドライに働いている人も普通にいます。それでも僕より良い仕事をして、ランクが上な人がたくさん居るのですからインターネット上で目立つなんて事は本職のソフトウェアエンジニアとして上を目指す上で些末な事でしかない事がお分かりいただけるかと思います(もちろん何をもってして上と呼ぶのかという話はあるのですが)。