いきなりめちゃくちゃ細かい話で恐縮なのですが、南部氏はアメリカ国籍を取得したので日本国籍を持っておらず、法的にはアメリカ人だったはずです。日本には日本人の近親者はかんたんに永住権を取れるという制度があるので、それで日本に移住することはできます(その後再帰化したのかもしれませんけれど)。

さて、私もアメリカに住んでいますが老後はまだだいぶ先の話で詳しくないので、いろいろな又聞きの組み合わせとなりますが、以下のような感じかと思います。

  • いわゆる老人ホーム、養護施設のようなものはふつうにあります。また老人向けコミュニティのようなパターンもあります。もちろんお金はかかります

  • 医療についても、アメリカにはMedicareという65歳以上の人はだれでも加入できる保険制度があるので通常の医療は可能であるはずです。しかしmedicareで足りない場合には自分で追加の保険に入る必要があるでしょう。ここはその人の健康状態や持病などによります

  • 食事については、それまでアメリカに住んでいたらそれほど問題ではないのではないでしょうか。ただこれまで日本風の食事を自炊などでこなしてきたのが養護施設などで食事が供されるようになりこれまでの食習慣と変わってしまうことはあるでしょう。これもまた人によるとしかいいようがありませんが困難なケースはあり得ます

というわけで、根本的には人それぞれということになりますが、それぞれに困難な可能性はあります。

また他の問題として、老いて認知症が発症すると母語ではない英語の能力が失われてしまうことがあると聞きます。結果として、日本語しかしゃべれなくなり、養護施設の職員や親族とのコミュニケーションができなくなってしまうというケースもあるようです。

こうした問題や費用の比較などから、晩年は日本で過ごすことを決めるという日本出身者はけっこういるように思います。先述したように、仮にアメリカ国籍を取得して法的には日本人ではなくなっても、現行法では日本の永住権を取得するのはそれなりに容易であると思われるので、老後は日本というのはそれなりに現実的な選択肢ではあります。あとはそれぞれの決断次第ということになるでしょう。

平均寿命についてはアメリカは先進国の中ではかなり短い方で、日本の平均寿命は世界トップクラスなので、そこの数値の比較で言うとアメリカは結構大変と言うことになります。具体的には最近の統計では日本では男性が81歳、女性が87歳ほどというところで、アメリカでは男性が74歳、女性が80歳ほどと差があります。

ただ平均というのはあくまでも平均であり、アメリカのように極端な格差のある国で的確にこうした数値を解釈するのは難しいのです。たとえばアメリカではもっとも収入の低いグループの人たちの平均寿命は75歳程度であるのに対し、上位1%の収入の人たちの平均寿命は87歳ほどという統計もあります(あくまでも一般論として、南部氏のように高い専門性があって渡米した人の収入は平均よりかなり上であることが言えると思います)。また州によっても平均寿命はかわり、上位のハワイやカリフォルニアでは全体的な平均寿命は80歳を越えるという統計はあります。それでも日本よりはそれでもやや低いですが、それなりに長いとも言えるのではないでしょうか。南部氏はシカゴ大学だったのでイリノイ州ということになりますが、イリノイ州もそこまで上位ではないですがアメリカ平均よりは上で、平均寿命は79歳ほどです。なお平均寿命が低い州はケンタッキー、アラバマ、ミシシッピーなどです。

という具合で、単なる平均ではなかなか簡単には説明できないことも多いのですね。どのようなセグメントに対応するか、また日本の平均寿命もそれぞれのセグメントで変わりますから、そこでの比較もした上で論じないといけません。そうした比較を見た上で、あくまでも平均は平均に過ぎないので自分にどのように当てはまるかはまた別の話であることもあるし、期間はともかく老後のQoLはどうなっているかとか、そう言うこともまた考えなければならないでしょう。

というわけで、引退後のアメリカの生活・制度としては全く何もないわけではなく、それなりの制度はあるのです。平均寿命の短さはアメリカの格差社会と医療費の問題が大きいのではないかと私は思っています。それでも晩年を日本で過ごしたいという選択はもっともだと思いますので、あとは人それぞれということになるとおもいます。

https://en.wikipedia.org/wiki/Medicare_(United_States)

https://nazology.net/archives/47719

国際化の弊害?「バイリンガルの認知症」が社会問題になりつつある - ナゾロジー

目次 国際化した社会の認知症バイリンガルは認知症になりにくい Credit:depositphotos point 国際化によって、母国語と異なる言語を使う移民が多くの国で増えている こうしたバイリンガルの人が認知症にかかった場合、母国語以外が話せなくなるという症状が現れることがある 英国など複数言語を操る住人の多い地域では、こうした認知症患者の介護問題が表面化している 母国語以外に複数の言語を扱うことのできるバイリンガルやマルチリンガル。 母国とは異なる国で暮らす人は、国際化の進む21世紀では珍しくありません。しかし、こうした国際化社会が、次第に新しい問題を生みつつあるようです。 外国…

nazology.net

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1043.html

日本人の平均寿命はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター

公益財団法人生命保険文化センターは、公正・中立な立場で生活設計と生命保険に関する様々な情報を提供しています。(設立1976年)

www.jili.or.jp

https://www.cdc.gov/nchs/pressroom/sosmap/life_expectancy/life_expectancy.htm

Life Expectancy at Birth by State

National Center for Health Statistics

www.cdc.gov

http://www.equality-of-opportunity.org/health/

The Equality of Opportunity Project

www.equality-of-opportunity.org

8か月

利用規約プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください

Jun Mukaiさんの過去の回答
    Loading...