人口の大きさや都会度、東京への近さなどで計ってしまうと、福井に劣等感を感じてしまうのだと思います。今春に北陸新幹線が開通するまでは、福井は東京から鉄道・航空で直行できないエリアでしたし、大きな空港も新幹線もありませんでした。人口もわたしのX(Twitter)のフォロワー数より少ないぐらいです(笑。
しかし福井という土地の価値を、その手の数字で計ることには意味がありません。逆にそうした数字が少ないからこそ、価値がある面もある。交通の便が悪いことが幸いし、福井には大企業の工場進出が目立たず、企業城下町も多くありません。またストロー効果で大都市に若者が流出することも少なかった。結果として地元に優秀な若者たちが残り、自助努力で起業する若者たちも少なくありません。交通の便が悪いことが、起業が活発な土地柄を生んだのです。
歴史的に見ても、福井は非常に重要な地理的価値を持っています。鉄道や道路が整備される以前の江戸時代前は、東西の主要な交通路は日本海の北前船であり、福井は重要な拠点でした。話がずれますが、おとなり石川県の輪島も同じように北前船の重要拠点として非常に栄えた都市です。能登を現在の常識で「都市から遠く離れたへんぴな土地」と一蹴してしまうことにはわたしは非常な違和感があります。
わたしが拠点を借りている福井嶺南の敦賀は、つい最近までウラジオストックとのあいだに航路が開かれ、貨客フェリーが運航されていました。この航路はシベリア鉄道とつながり、日本からヨーロッパに向かう最短のルートだった時代もあったのです。つまり敦賀が世界への出口だったということです。「日本列島を南北に反転した地図」というのが話題になるときがありますが、ネットで検索してこの手の地図を見てみれば、北陸がいかに大陸と近い関係にあるかが実感として理解できるかと思います。
あるいは自然や文化についてはどうでしょうか。近年はスピリチュアルにはまる人が多く、各地の神社仏閣などが「パワースポット」として持てはやされていますが、その種の雑多で商業的な疑似パワースポットとは比較にならないほどに幽玄で深遠な文化・自然遺産が、福井にはたくさんあります。たとえば小浜市の鵜ノ瀬や若狭湾の常神半島などはすごいです。常に神様がいるんですよ!
このように見ていけば、福井が劣等感を持つ理由など何もありません。素晴らしい土地、素晴らしい人たちがたくさんあるのが福井です。