哲学者の三木清は、『人生論ノート』の中で、怒りを原因に応じて三つに分類しています。神の怒り、名誉心からの怒り、気分的な怒りです。神の怒りというのは、正しくないことが起こった時に神が怒るように、人間も怒るということです。名誉心からの怒りは、独立の人格であることを棄損されたことによって生じます。例えば侮辱が典型でしょう。気分的な怒りは生理的なものであって、体の調子によって左右されます。お腹が空くとイライラするあれです。正論をいわれた時に怒るというのは、三木の分類でいうと、名誉心からの怒りであるように思います。なぜなら、自分でもわかっているのにそれを他人から指摘されると、プライドが傷ついたり、侮辱されたような気がするからです。いずれにしても、こうして怒りの原因を分析してみると、自分が不本意にも怒ってしまうことを予防することが可能になります。ただ、三木はすべての怒りを否定しているわけではありません。むしろ怒るべき時は怒る。それこそが望ましい態度であるとさえ考えています。キレるのはもってのほかですが、大事なのは「正しく怒る」ことであるように思えてなりません。

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小川仁志さんの過去の回答
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