あー、質問内容からすると、これは多分「不確定性原理」のことかなぁと思うんだよ。歴史的に観察者効果と不確定性原理はだいぶ混同されてきた歴史があるので仕方がないけど、観察者効果は観察した系そのものに与えてしまう影響なので、ここでは不確定性原理に置き換えて考えてみるね。

例えば光子なり電子なりを、その位置について観察するという状況を考えると、元は「この場所にある確率が何%」という状態が無数に重なり合っていたのが、観察後には「この場所に100%あり、他の場所にはない」と (少なくとも原理的には) なるよね。観察前は「いくつかの固有状態の重ね合わせ」である波動関数が、観察後は1つの固有状態へと決定されることから、これは「波動関数の収縮」と呼ばれるよ。

実は、この波動関数が収縮している状態、あるいは収縮しているように見える状況が起こる理由は分かっておらず、「測定問題」として量子力学の主要な課題として存在しているよ。数学的な手続きとして波動関数の収縮を定義することは可能だけど、物理的に何が起きているのかはブラックボックスであり、まさに質問の通り、何が起きて波動関数の収縮が起きているのかは全くの未知な状況だよ。

この波動関数の収縮というのは、ヴェルナー・ハイゼンベルクやニールス・ボーアが考えたもので、実は2人の考えは少し違うんだけど、とにかくは観察という行為が何らかの理由で波動関数を不可逆的に変化させている、と考えているんだよね。一方で、波動関数の収縮という考え自体が幻であり、波動関数は宇宙全体で1つしか存在せず、決して崩壊しないとする考えもあるよ。その場合、波動関数が収縮しているのではなく、波動関数で現れる固有状態の重ね合わせが分岐し、完全に異なる世界へと分岐すると考えるよ。これが有名なヒュー・エヴェレットの多世界解釈だよ。

いずれにしてもこの疑問は、局所的な隠れた変数理論を否定するベルの不等式の破れを検証する実験により、固有状態の値は固有状態の決定とは絡まないだろうということが分かったくらいなんだよね。そしてこれは2022年のノーベル物理学賞になるくらい、実は相当な難問なんだよね。

7か月

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彩恵りり🧚‍♀️科学ライター✨おしごと募集中さんの過去の回答
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