僕の意見は「役に立たないとは思うが、殊更に役に立たないと主張する人のほうが役に立たない」です。
競技プログラミングと業務の関係は例えるなら100メートル走とサッカーのようなもので、どちらかに優劣があるわけでもなく、どちらかのトップアスリートがもう片方でも必ずしもトップアスリートとは限りません。
サッカーの試合中に瞬発的に短距離走の速度が重要となるシーンもありますが、サッカーの試合結果は足の速さのみでは決まりません。業務でも時々競技的なコードを書く必要に迫られることもありますが、もちろんそれのみでは業務は終わりません。その割合に関しては現場に依存するので一概なことは言えません。
ここで重要なのは「100メートル走がちゃんとできる人間はサッカーも人並みにできる」という事です。100メートル走で一人の競技者としてやっていくには靴をちゃんと履いて左右の足を交互に動かして地面を蹴って狙った方向に前進する必要があります。サッカー選手でこれが必要でないと言う人は一人もいないはずです。競技プログラミングでトッププレーヤーになる必要はありませんが、人並みにやっていくために身につける基本動作は業務でも共通します。
言い換えると「競技プログラミングは業務で役に立たない」と得意げに言っている人で、競技プログラミングの基本動作ができていない人は、まるで自分の足で走れないのに「100メートル走はサッカーの役に立たない」と言っているようなもので両方やっている人からすると滑稽に見えます。
まずは靴紐を結んで自分の足で自在に移動できるようになる事が試合で役立つには必要で、競技プログラミングのために舗装された様々な学びの高速道路はそれを獲得するためにかなりコスパの良い道であると考えています。100メートル10秒を切るまでやり込まなくていいので怪我なくタイム計測ができる程度までやる価値は大いにあります。
競技プログラミングはコードを書く競技ではありますが、書いたコードがいきなり正解である事はほとんどなく、どこでバグが混入したかを素早く見つけて解決する必要があります。これはコード規模に違いこそあれ業務でも重要なスキルであり決してバカにできるものではありません。僕もレッドコーダーと一緒に仕事をしたこともあり、彼は途方もなく巨大かつデバッグ困難なコードベースを相手にしていましたが、その場でも筋道を立てて問題を解決に向かわせる力は確かなものだと感じました。