ハロウィンを研究したことですね。

だいたい3年前に「渋谷ハロウィン」に興味を持ち、それを説明することを試みたことがあります。

知的なコミュニティを標榜するMondならこういう「込み入った」エピソードもありえると思いますが、どうでしょう。

まず誰でもできる説明は「渋谷ハロウィン」はじめ、

日本のハロウィンは「アイルランドのハロウィン」を継承していないということです。

アイルランドのハロウィンは日本でいうお盆であり、死者が蘇る厄日であるとされています。

「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらうのは米国版ハロウィンであり、

日本も多少は米国の影響を受けていると想像できます。

他方、この説明は多くの点で不十分ですね。

この説明だけだと下記のような「暴力的なハロウィン」を説明できません。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38698560X01C18A2CC0000/

軽トラ横転、カメラが見ていた ハロウィーンの渋谷 - 日本経済新聞

ハロウィーン前の週末、仮装した若者らで混雑した東京・渋谷のセンター街で、通りかかった軽トラックが横倒しにされた。警視庁が容疑者の男4人を逮捕するまでわずか1カ月余り。群衆の中に散った容疑者を特定する決め手となったのは、街中に設置された防犯カメラや現場にいた人々のスマートフォン(スマホ)の画像だった。事件は10月28日午前1時ごろ発生。人波でごった返すセンター街を通ろうとした軽トラが取り囲まれ、

www.nikkei.com

上記記事は2018年の渋谷でのハロウィンで人々が集まってトラックを押して横転させ、

横転したトラックの上でも騒ぐ人々の様子が記録されています。

彼らはトリック・オア・トリートといい、かぼちゃをかぶる米国式とも関連があまり見いだせません。

なので西洋、合衆国との関連は一旦棚上げし、日本の祭りとの関連を調べました。

してみると暴力的な祭りこそ日本の祭りだと言わんばかりの多くの情報が見つかりました。

https://digital.asahi.com/articles/ASMBY4QMBMBYPTIL014.html

死傷事故相次ぐだんじり 息子亡くしても「近所に謝罪」:朝日新聞デジタル

 祭りでの事故が絶えない。兵庫県尼崎市のだんじり祭りでは今夏、この祭りで2003年以降3件目となる死亡事故があった。秋になっても各地で負傷事故が続く。危険を伴う祭りは全国にあるが、伝統と安全をどう両立…

digital.asahi.com

上記記事は「死人が出るぐらい」は祭りで問題とされないことが透けて見える記事です。

論理的には網野善彦によってこの観点は説明されています。

『日本の歴史をよみなおす』及び『無縁・公界・楽』の中で網野善彦は

「ハレの日/ケの日」という概念で日本の祭りの無秩序を説明しています。

ケの日は日常で法律と秩序が守られる「退屈な日」です。

しかし祭りの日は「ハレの日」であり、この日だけは特別に普段の規範に反していい、

反することによって鬱憤を晴らす人と分析されています。

こうでもなければ「死人が出る」ことに全く反応しない心理はなかなか説明できません。

以上の事実から「渋谷ハロウィン」とは日本的な暴力的な祭りを「ハロウィン」という対外的な祭りのガワで行う、

あくまで「日本的な祭り」であるというのが3年前の私の結論でした。

後にクリスマス研究でも「なぜ日本のクリスマスは合衆国や西ヨーロッパのものと異なるのか」という問題に出会いましたが、

こちらも同じように「日本の祭りを、なぜか名前を外来のものに変え、外見だけ渡来のものを踏襲しつつ内実は全く日本的なことをおこなう祭り」という指摘が先行研究において見つかりました。

……というのが私のハロウィンのエピソードです。

https://www.youtube.com/live/zK4nfBKNUYU?si=_nRfzvtmWUwYI78q

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