こんにちは。ご愛読ありがとうございます。
『ピリオド』は最近、新装版になって刊行された本ですが、もともとは2000年頃に書いたものです。早いもので、もう25年くらいたってしまいました。その本を、今も新たに読んで下さって、「刺さる」と感じていただけるのは、本当にありがたいことです。
ところでご質問ですが、私はどの小説を書く場合でも、実在する人物を思い浮かべるということは、まずありません。ですから、『ピリオド』の主人公ももちろん、モデルになっている人はいないということになります。あの当時も今と変わらず「○○殺人事件」とか、サスペンスがエンターテインメントの主流になっていた気がするのですが、私は編集者と打合せをしたときに、そういう大きな「事件」のようなものが何も起こらない小説にしたいと話した記憶があります。
どこにでもいそうな人が普通に現実(小説の中ですが、書いている最中には作家にとっては、それは現実に見えてしまうんですね)を生きて、日々を暮らしていく、それだけの小説でも様々なことが起きてきて、心は揺れて、という、そういう毎日を人は過ごしていくものです。そういうものを丁寧に書きたいと思った記憶があります。
ですから主人公の台詞も、置かれた状況も、これは私の中で勝手に出来上がっていったものです。もしもそれが、読者の方と似ていたり、どこかしら心に残るものであったら、こんなに嬉しいことはありません。
5か月