中国がやってる「施策」やら「侵略方針」が、「気の長い段取り」(「長期的視野」でなおかつ「計画的」という理解でよろしいでしょうか?)に見える件ですが、それは近代化の過程で清朝が着手していたことに加えて、「中国」という近代国家のカタチを作った孫文が作った青写真をベースに国家建設を進めているのと、中華民国時代の1930年代頃までに策定された「本来あるべき中国の領土」をベースに、失った領土を取り戻そうとする「領土完整」を目標にしているから、そう見えるのではないか…と思います。
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中国に鉄道網を張り巡らすのと三峡ダムは孫文が決めたことですし、西洋に学んで工業化を進めるのも清朝の頃から着手していましたし、近代的な軍隊…特に海軍を建設するのも清朝末期から始まっています(日本に北洋艦隊を壊滅されて挫折しましたが)。
清朝末期~中華民国初期あたりで、中国を近代化するために必要なことは大体見えていたわけで、全国的に鉄道網を整備して人流と物流を改善しようとか、巨大ダムを作って発電だの農業用水を確保しようとか、外国に学んで工業化を進めて外貨を稼ごうとか(清朝末期すでに上海でその後の「経済特区」みたいな外国企業の工場を誘致する制度がありました)、艦隊を保有して外敵に備えつつ、領土を取り戻そうとか…そういうのは中国の近代化において必要不可欠で、中共が政権を取っても、やらなきゃいけないことについては特に変化がないのですね。
途中で、日本との戦争やら、ソ連や米国の脅威に備えたり、核武装を優先する必要が出てきたり、内戦やら大躍進運動、文革があったり、ベトナムと戦争をしたり…で予定や優先順位がたまに変わることもあるのですけど、「やらねばならない課題」はそんなに大きく変わらない。
それに加えて中共は計画経済なので、それを何十年の視点で俯瞰すると、「かなり気の長い段取り」でやってるように見えるのかと思います。
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「領土完整」については、以前ツイッターでお答えした連投が下記にまとめられておりますので、ご参照ください。
【黒色中国さんによる中国のお話(Ver1.1)】
https://togetter.com/li/853420
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経済解放(改革開放政策のことかな?)の勢いのまま民主化すれば超経済大国に…の件ですが、これは中国共産党が、先行して「民主化」した冷戦終結時の東欧やソ連の事例を研究していたので「民主化」がそんなに素晴らしいものとは思っていなかったのと、自分たちの「既得権益」を手放したくなかったのもあり、「民主化」を実施しなかったものと私は考えています。冷戦終結で「民主化」した結果、旧東側で経済大国になった国はないわけで、GDPランキングを見ても
統合されて消滅した東ドイツをどう判断するかは別にして、せいぜいロシアが11位に入ってる程度ですよね。
そもそも中国の経済成長のポテンシャルは高かったので、民主化すればもっと豊かになっていたのかも知れないけど、中共が強い指導力を保持したままの「開発独裁」でやった方が効率が良い…という判断もそれほど間違っているわけではありませんでした(※一党独裁を正当化しているわけではなく事実と結果を語っているだけです)
こうやって中国の近代化の歴史を振り返ってみると、
・まずは英仏とロシアに邪魔をされ、
・日清戦争と日中戦争で日本に二度邪魔をされ、
・ソ連や米国との対立でも邪魔をされ、
・国内では大躍進と文革で混乱し、
そうやって何度も近代化を中断させられているので、気長に国家建設をやっていたのではなく、上掲のような「邪魔」や「混乱」がなければ、あっさり十数年程度で近代化できていたのかも知れず、不本意な中断を経てもまた「以前の続き」に取り組んでいることが、長期的視野でやっているかのように錯覚させられてしまうのかも知れません。