『きけ わだつみのこえ』と同じではないですが、似た趣旨で近いものを挙げろと言われればグロティウス『戦争と平和の法』が思い浮かぶでしょうか。

30年戦争を経て考えられた平和への道しるべです。

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戦争と平和の法(せんそうとへいわのほう)とは? 意味や使い方 - コトバンク

改訂新版 世界大百科事典 - 戦争と平和の法の用語解説 - 〈国際法の父〉と呼ばれるグロティウスが,1625年亡命先のパリで出版した国際法に関する彼の主著。正戦論の立場に立って,戦争の禁止・制限・許容について,また,戦争中に守られるべき規則について詳細に論じた。これに関連して,彼は,国際...

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他方、質問者さん自身もお気づきのように現代とかつての戦争が、死者数という意味では別物なのは注意すべきでしょう。

本当に思いつきで適当な戦争をあげますが、名将ピュロスのものとされる戦いにヘラクレアの戦いとアスクルムの戦いがあります。どちらも紀元前300年ごろ戦争で、規模はおおむね戦闘に参加した人間が6-8万、戦死者がどちらも1万人ぐらいのようですね。

言うまでもなく、太平洋戦争で使われた多くの兵器は最近の発明です。
歩兵を大量に殺す機関銃は第一次世界大戦ごろから、爆撃機はまさに第二次世界大戦から、大砲の使用もだいたい西暦1500年ごろからと考えられていて、ピュロスが戦争をしたころは以上の殺戮の兵器はありません。

代わりに彼らが持っていたものといえば槍、剣などの近接武器や弓、投石機と呼ばれるものが地域によっては使われるという世界ですね。

人間が人間を殺すのは非常に難しい時代であり、大量殺戮を狙うなら兵器を使うより兵糧攻めで餓死を狙うか、川を使った溺死を狙うかぐらいで、現代のように国がその気になればどの地域でも大量殺戮を行うということはできませんでした。

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あるいはそもそも、『きけ わだつみのこえ』のような状況が歴史的に見ても珍しいというのはあります。この本は学徒出陣を行った際の記録な訳ですが、若者のみが出陣を強いられるという風な状況は稀です。ぱっと思いつくのはロシア遠征で大敗したナポレオンがライプツィヒの戦いの「老人も子供も動員した」とされる事例が浮かぶぐらいです。
これは先述の武器の話と重なります。古代世界で学徒出陣をさせても戦場で役に立ちません。
槍や剣、弓で戦うには十分な訓練が必要で、学徒よりも十分な訓練を積んだ傭兵や貴族、専業軍人が優先して戦場に出ていきました。仮にこうした「主力」と呼べる人たちが倒れたなら、普通は降伏するでしょう。この部分の問題は太平洋戦争を扱う上で常に指摘されている部分なので、参考文献をおいておきます。太平洋戦争当時の日本だって学徒は戦場に役に立つと期待されていませんでした。彼らよりすでに死んでしまった日中戦争等を経験した兵士たちの方が「主力」であり、なぜ主力とされる-戦力として期待される-人々が亡くなってもなお日本は戦おうとしたのでしょう? これはだいぶ特殊な事例なので、比較するよりはその事象自体を調べるのも有効でしょう。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー) https://amzn.asia/d/fsWoXQo

太平洋戦争全般を扱った本であり、「なぜ戦争をやめられなかったか」がわかる本です。

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション] https://amzn.asia/d/4TP3JqH

日本の降伏の日を追った映画です。降伏の日の葛藤から「なぜ降伏できなかったか」も多少想像できるでしょう。

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あるいはまた、現代以前は人命が重視されなかったというのはあります。

現代では人には人権があり、不幸な境遇に陥ることは改善すべきと考えられます。
他方、この意識が根付くまでは人の死に人間はだいぶ無感動でした。

たとえばこの本は明治時代を振り返った本ですが、その中でも「ある種の人間は死んでも仕方がない」という意識があったことが伺えます。

生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) https://amzn.asia/d/eYHoIgJ

あるいはこの本は平安時代を描いた本ですが、あまりにあっさり人が殺される上、お咎めがないことにも驚かされます。

殴り合う貴族たち (文春学藝ライブラリー 歴史 29) https://amzn.asia/d/5plF8ek

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かつての戦場の風景を伝えるものとしては以下のような本もあります。

ご興味があればぜひ。

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) https://amzn.asia/d/3dt1Rgr

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