芥川賞について、大変お怒りのようですね。
正直なところ、私は直木賞受賞者ということもあってか、芥川賞の候補作、受賞作などの熱心な読者ではありません。と、申しますより、あなたが仰る通りかどうかは別として、あまり心を動かされることがなくなり、多少、遠ざかっていると言ってもいいのかも知れません。それは、受賞作家との年齢的な隔たりも関係しているのかも知れませんね。
直木賞ももちろん、芥川賞も数人の選考委員によって選ばれるものです。その候補作を、あまたある作品の中から、まず「ふるいにかける」のは編集者の方々の仕事になります。従って、編集者の方々が時代と共にどんどん若くなり、感性も違ってくれば、まず選考委員の前に並べられる作品そのもののテイストが変わってくるだろうと思います。
若い編集者たちが、過去の受賞作にとらわれることなく、「実験的」であろうと、新しい息吹を感じられるものを選んでくるということは十分に考えられることではないかと思います。
もともと芥川賞候補作は、限られた文芸誌に掲載されたものの中から選ばれます。ですから、
どんなに芥川賞向け(?)に書かれた作品だとしても、その他の媒体に掲載されたものは、候補にすらのぼらない、ということもあるのです。
その他のことは、私にはよく分からないので、お返事のしように困るのですが、とにかく芥川賞はある意味で「実験的」であり、読者に向けてというよりも、自分の内面に向けて書かれる作品が選ばれるのではないかという印象を私はもっています。「誰のために書くか」ということの意識が、エンターテインメント小説と俗に言われる直木賞作品とはいちばん違うところだという気がします。
5か月