中年クライシスと呼ばれる不安を引き起こす要素はいくつもあり、「これが原因!」とひとつに決められるものでもないようです。ひとつには体力の衰え。20〜30代のころは徹夜など全然問題なく、運動不足でも気にならなかったのが、40代に差しかかると徹夜はつらくなり、何もしないとどんどんメタボ化して肥ってしまうようになる。 社会的ポジションの問題もあるでしょう。中間管理職になることで、上からは責められ下からは突き上げられ、責任ばかりが重くなる。上から言われたことをひたすら猪突猛進してやっていれば、多少は失敗しても上が責任を持ってくれていた20〜30代とはまったく違う対応を求められるようになります。 夢が追えなくなってくることもあるでしょう。20代だと「自分には無限の可能性がある」とまだ信じられていたのが、40代になると自分の将来の可能性の幅はずいぶんと狭まってきます。自分がこれまでやってきた蓄積を捨てて、まったく新しい分野に挑戦するのは難しくなってくるし、そもそもせっかくの蓄積を捨ててしまうのがもったいなくもある。会社に所属しているのであれば、自分がどの程度まで出世するのかという限界が見えてくるのも40歳ごろです。 中年クライシスを乗り越えるためには、これらの要素をひとつずつ潰していけばいいのです。体力の衰えには、運動強化で応えましょう。スポーツジムに通って有酸素や筋トレに精を出せば、体力がつくだけでなく、自分自身への自信も回復してきます。 社会的ポジションの変化や将来可能性が狭まる問題は、いま現在自分のいる場所を固持していくだけでは対応は難しいのは事実です。わたしの場合は、ちょうど41歳になったばかりのころに会社員を辞めてフリーランスになったことで、社会的ポジションはきれいにリセットされ、将来の可能性も再び急拡大しました。それは同時に「自分がもう40歳なのに、フリーになって地位も肩書きもない。何者でも無い」という不安定さを引き受けなければならないことでもありました。将来の可能性は広がりましたが、同時に「いまは金もない。あしたの金、来年の金が稼げる保証もない」という心配を引き受けることでもあったのです。 だから社会的ポジションをリセットし、将来の可能性をふたたび広げようとするのなら、それは独立起業や転職という思いきった行為が必要であり、不安定さや恐怖を引き受けなければならないというデメリットと向き合う覚悟も必要となるということです。 それが嫌なら、多少の中年クライシスは我慢して、このまま自分のポジションをキープして進んでいくという選択肢もあります。そしてそれは、決して悪手とは言えません。どちらの選択であってもメリットもデメリットもある。だからどちらを選ぶかは、あなた次第なのです。