ご質問ありがとうございます。素粒子分野の人が素粒子理論のツールを使って「物性理解する研究」という意味でしたら、いろいろあります。最近では例えばAdS/CFT対応という超弦理論から出てきた双対性を用いて、曲がった時空を記述する一般相対性理論の解から共形対称性をもつ物性系の性質を導出する研究も長くされています。そのような理論はCMPをCondensed Matter Physicsの略として、AdS/CMPとも言われたりしています。また「物性」というのを多体系の性質と捉えれば、高エネルギーの素粒子実験におけるクォークやグルオンから作られたプラズマも物性系とも言えます。そAdS/CFT対応の理論では、そのプラズマが持つ非常に小さな粘性を高次元重力理論から考察して、定性的に理解することも成されています。また古くはソリトンも素粒子から出てきた概念でした。素粒子を場のトポロジカルなソリトンだとするアイデアも真剣に検討をされていて、その中からは現在物性でも重要な概念が多数残っています。ディラックが提唱をした磁気モノポールも、素粒子分野のテーマでしたが、現在では同じようなトポロジカル構造を持つ物性系のソリトンの研究に役立っています。また低次元系のエニオン超伝導や量子ホール系などの物性モデルに出てくるエニオンも、チャーン・サイモンズゲージ場理論という素粒子のゲージ理論から派生してきたアイデアとも言えます。ご参考になれば幸いです。

2024/05/31投稿
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