中高生がカップル動画を上げてるのを見て、大人達はよく「別れた後、大変なことになる…」と心配したりしますが、初めての恋人が出来た時に「この人とはどうせ別れるから写真や動画をネットに上げるべきではない…」と冷静に考えてる中学生がいたら、それはそれで心配になったりしますよね。
だからネットにカップル写真をあげるような子はきっとむしろ純粋な子で、ずっと続くと信じてるからこそ全力で恋に向き合ってるんじゃないかなぁと思ったりします。
……。
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急になんの話??って感じですよね。
あなたの話をしているつもりです。
こんなに傷ついているのは、初めての連載コンペに対して「ダメ元でまずは様子見気分で…」とか予防線を張って取り組むのではなく、「絶対に取る!!」と全力で向き合ったせいですよね。
今、凄く心をえぐられている状況なので、次はダメ元意識を最初から持っていましょう、と言ってもいいのですが、私は編集者としてあなたにそういうことを言うのに、少し躊躇があります。
なぜなら、あなたのその純粋さ、場合によっては愚直さと呼ばれる一途な不器用さは、あなたの個性の1つな気がするからです。
要領よく生きるなら、恋人が出来ても浮かれず、別れた後のことをどこかで想定しておき、気持ち的にも、実利的な部分でも、なるべく実害をくらわないように準備しておく、というのは勿論ありだと思います。
連載コンペも同じです。
最初から練りに練ったものではなく、ざっくりした段階で観測気球的にバンバン出して、まんまと落ちたらどういう理由で落ちたかの理由を聞いて分析し、ちょっとずつブラッシュアップして行く。
落ちることを最初から想定し、むしろ落ちることで得られる編集長やデスクなど決定権のある人間の意見を利用しまくる、というやり方ですね。
この方法だと、そもそも落ちることがネガティブではなく、意見の吸い出しの場になるだけなので、傷つきません。
編集部の意見を聞いた時に「あれ…そもそも私の描きたいジャンルへの理解が薄そうだぞ…」と解ったら、早めに逃げれますしね。
編集者目線的にも、企画会議のたびに同じ企画が出て、目を見張るようにブラッシュアップされてどんどん面白くなって行くと「なんて伸びしろのある作家さんなんだ…!」「成長が早い…!!」とかチョロく錯覚するかもしれません。
私は、たまに自分にウンザリするしゾッとするんですが、本当に息を吸うように要領よく生きてしまうタイプです。
そんなに全力で頑張れないから最大効率で結果が出る方法を秒で計算しちゃうし、予防線なんて最初から貼りまくります。
要領の良さだけで、たいした能力もないのに、チャンスに恵まれ才能ある人に囲まれ、ほくほく楽しく生きています。
でもねぇ…上から目線に聞こえたら申し訳ないんですが、要領よく生きるヤツより、一途に頑張る人の方が素敵じゃないですか?
私は、そこまで落ち込めるあなたのこと、とても素敵だと思います。
眩しいです。
きっとあなたの描く主人公も、魅力溢れる子だと思います。
なにが理由で落ちたのか解らないですが、自分の描いてきたものや才能を全否定しなくていいと思いますよ。
初恋が破れた後、それがトラウマになって、要領よく生きるようになる人もいるかもしれません。
それはそれで否定しないし、人間の持つ生きていく知恵だとも思います。
あなたが二度とこんな風に傷つきたくないと思って、今度は要領よく立ち回りたいと思うなら、今自分でボツにしているネームを軽率に担当に送りつけて下さい。
ボツと言われても思った通りだし、通ったらラッキーじゃないですか。
最初から本気では取り組まない。
ジャブを打つ意識を持つ。
この方向で倒せそう(連載を勝ち取れそうだ!)と思ったら、そこで初めて全力のストレートを打つ。
そんな風に生きてもいいと思いますよ。
ただね。
ただね。
私自身がそういう要領のいいクソ野郎だから言うんですけどね。
要領のいい人間ってね、肝心の勝負どころ、「全力のストレート」を出さなきゃいけない時にも、出せなかったりするんですよ。
普段ジャブしか打たないから。
ここぞっていう時にも、逃げる場を用意してしまったりする。
だからね。
苦しいと思うんだけど、少し考えてみて欲しいです。
今、凄く苦しいと思うけど、でもそれは、あなたが全力で戦える力がある証拠なんだと。
全力で打ったからその反動で今はまだ傷が癒えてないだけで、あなたは絶対立ち上がる人と思います。
立ち上がった後、次にどう生きるか。
今度はここまで傷つかないように要領よく生きる方法はあるけど、でも、もしかするとそれは、全力のあなたで勝負できなくなってしまう禁断の手段かもしれない、ということは理解してください。
あなたが望む生き方を選んでいいと思います。
でも私は、あなたのことを、とても素敵だと思います。
自分のこと弱いと思ってらっしゃるようですが、むしろ凄く強い人なんだと思います。
今後は要領よく生きる人間になったとしても、今のあなたのことを誇って欲しいな。
そう切に願います。