この質問には何か誤解があるような気がします。アメリカにも日本と同じように地方交付税交付金の概念はあります。アメリカの場合、地方交付税交付金の流れは、連邦政府 (Federal)から州政府 (State)、そしてそれぞれの州政府から地方政府(County, Municipal)(市町村)への3段階から成立しています。日本は、国 (National)から都道府県の地方政府(市町村)への2段階から成立しています。アメリカの場合は、連邦政府から直接3段階目に当たる州の市町村に「直接」支給されることは殆どありません。私は、そういう意味で、この質問が書かれていると理解します。

アメリカの州政府と地方政府の財政関係は以下のようになっています。連邦政府から州政府に対して補助金が交付されます。これには使途が定められた特定補助金と、使途が自由な一般補助金があります。次に、州政府から地方政府(市町村)に対しても補助金が交付されます。ただし、州政府の地方交付税交付金になる歳入の約50%は、税収(州の所得税、売上税等)で残りの50%の財源として連邦政府からの州への補助金を使います。州政府から地方政府への補助金は、社会サービス、教育、保健・環境保全等のの為に交付されています。これはアメリカの場合、州レベルで日本の地方交付税交付金に相当するものです。つまり、アメリカでは連邦政府から州政府への補助金制度はありますが、日本のような一律の地方交付税制度は存在しません。各州が独自の財政制度を持っているのが特徴です。(次に、アメリカの各州が地方交付税のような税収がなくても衰退していないのは、以下の理由が考えられます。

1.州税収の多様化: アメリカの州政府は、州税(所得税、売上税など)、連邦からの補助金、その他の収入源を持っている。つまり、アメリカ在住の人は少なくとも2つの所得税(連邦政府の所得税と住んでいる州の所得税)を払います。また大都市には市の所得税も別にありますし、その上に郡(County)の所得税もあるので、納税者は色々なレベルで所得税を払います。州税収は地域経済活動に応じて変動する為、一つの税収が減少しても他の税収で補填できることが多い。

2.州間の財政調整制度: 経済力の弱い州に対して、連邦政府や他の州から財政支援が行われ、財政格差の緩和が図られている。

3.連邦政府からの補助金: 連邦政府から各州に対して、社会保障、公共投資、教育など目的別の補助金が交付されている。これらの補助金が州の財政を支えている。

以上のように、米国の州政府は地方交付税のような単一の税収に依存せず、多様な財源を確保しており、また連邦政府からの支援も受けているため、財政的に自立した運営が可能となっています。

2024/04/01投稿
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