「マイナンバーカード等、行政・医療のDXに反対するのは、イデオロギー的な主張かデジタルに疎い高齢者層だ」というのが通説だと思いますが、フラットな政治スタンスの現役層・若者層でもデジタル化への理解は広がっていないように感じます。

現にマイナンバーカードの取得率は若年層の方が低く、先日も小籔千豊氏(50歳。特定の政党への支持無し)がメディアでマイナ保険証への不安・不信を語っており(小籔千豊 マイナ保険証1本化にNO!「うまいこといってるの見たことないやん」。東スポWEB。2023年12月22日)、通説どおりではないなと感じた次第です。

記事内にもある通り、現役世代でも「自分は古い人間」と語り、デジタル化を忌避する者は多そうです。

こういった層へ、政府・メディア・識者らはどうアプローチすれば良いのでしょうか。長文失礼しました。

小籔さんに限らず、芸能人にそういう考えの人が多いのは私の見聞きした範囲でも事実です。それはテレビ局という閉鎖的な空間がもたらす、ある種の同調圧力の影響だと思っています。ひとつ例を挙げましょう。コロナ禍の最中に、ある大手テレビ局の番組にわたしが出演した時のことです。当時は大規模なワクチン接種が本格化しており、すでに日本人の半数ぐらいが接種している状況でした。

ところがそのテレビ番組の打ち合わせの席は、外部の世界とはまったく異なる空気が流れていました。大物芸能人が「皆さん、ワクチン打ちました?」と切り出すと、「いやー様子見です」「もう少し待った方がいいかなと思って」という意見が多く出て、さらに局アナの若い女性が「わたしはまだちょっとやめておこうかなと思って。怖いですよね」と言うと、みんながしきりにうなずく。

わたしはその時点ですでにワクチンは接種していたので、「芸能界はこういう反応なのか!」とビックリしました。その打ち合わせの全体の雰囲気としては、「ワクチンは危険性があるので様子を見た方がいい」「一般大衆はそれをわかっていないので、ちょっと困ったもんだなあ」というようなものでした。冷静に考えれば反ワク陰謀論以外の何ものでもないし、テレビの放送ではそんなこと誰も発言はしていないのですが、裏側ではそういう空気感だったのです。

ここにはテレビ番組というオモテ側と、芸能界の楽屋裏というウラ側の二重性の問題もあり、オモテで語られることとは裏腹にウラではおかしな空気感がけっこう蔓延しているということもあるでしょう。ときに週末のワイドショーなどで出演コメンテーターがこぞって「?」と思えるおかしな発言を繰り返しているのなどは、ウラがオモテを浸食してしまっているケースなのかもしれません。

こういう芸能界のウラの陰謀論がオモテを浸食し、それがテレビ番組以外のところでの発言、たとえばYouTubeなどでのトンデモ発言につながっているということがあるのではないかと思います。そしてそれに、お笑い芸人さんとかが好きな若者が影響されてしまう。そういう構図があるのではないかとわたしは捉えています。

11か月

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佐々木俊尚さんの過去の回答
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