先生の「入門/現代の量子力学」の付録G.1の「隠れた変数理論」

についてですが、

どこかで「局所実在論であっても重ね合わせ状態はありえる」

旨、書かれていたと記憶しています。

(僕の勘違いなら、この質問は無視して下さい)

対象系の状態を密度行列ρで表すと

相反する状態の重ね合わせなら(相反する状態からなる)干渉項が

必ず存在します(ρ=(|a>+|b>)(<a|+<b|) では |a><b|+|b><a| )

p264の「未知ではあるが決定論的な、、、機構」

が働いたなら、干渉項であっても、

「相反する状態は、どちらか一方だけでない」とおかしいと思います

(相反する状態を対等に含んでいては、決定論と言えないはず)

そうであれば、このρの干渉項は、すべて0のはずです。

ということは、ρは重ね合わせ状態(純粋状態)ではなく

古典的な混合状態と思います。

逆に、干渉項を含んだまま測定器に入れば、

ベルの不等式は破れます(清水本p229)

つまり、「局所実在論なら重ね合わせ状態はない」と

思うのですが、どうでしょうか?

ご質問ありがとうございます。2準位スピン系の状態ベクトルでの量子的重ね合わせは通常の量子力学でも、また隠れた変数理論でも出てくるのですが、その2つの考え方は全く違っています。決定論的な実在論であるその隠れた変数理論が、量子力学と全く同じ体系で記述できる理由は、測定の不可避な侵襲性です。J.S.Bellのその理論などでは、物理量が確定している実在は仮定するのだけれども、測定機とその実在が不可避に測定中の力を及ぼし合ってしまい、確率分布が測定前と変わってしまうことを前提にしています。その確率分布をρや状態ベクトルで書いているだけなのです。プランク時間程度の短い時間では物理量はシャープな分布をしていたと思えば、その時間スケールでの相反する事象もどれか(どちらか)1つであると考えているのですが、シュテルン=ゲルラッハ実験にかかる時間のように、プランク時間に比べて長い時間スケールでは測定相互作用のために対象系が乱されてしまって、量子力学と同じ結果を生むと見るわけです。その長い時間スケールにおいて局所実在論であるその隠れた変数理論でも確かに純粋状態の重ね合わせは再現されているのです。ご参考になれば幸いです。

2024/03/17投稿
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