ご質問ありがとうございます。2準位スピン系の状態ベクトルでの量子的重ね合わせは通常の量子力学でも、また隠れた変数理論でも出てくるのですが、その2つの考え方は全く違っています。決定論的な実在論であるその隠れた変数理論が、量子力学と全く同じ体系で記述できる理由は、測定の不可避な侵襲性です。J.S.Bellのその理論などでは、物理量が確定している実在は仮定するのだけれども、測定機とその実在が不可避に測定中の力を及ぼし合ってしまい、確率分布が測定前と変わってしまうことを前提にしています。その確率分布をρや状態ベクトルで書いているだけなのです。プランク時間程度の短い時間では物理量はシャープな分布をしていたと思えば、その時間スケールでの相反する事象もどれか(どちらか)1つであると考えているのですが、シュテルン=ゲルラッハ実験にかかる時間のように、プランク時間に比べて長い時間スケールでは測定相互作用のために対象系が乱されてしまって、量子力学と同じ結果を生むと見るわけです。その長い時間スケールにおいて局所実在論であるその隠れた変数理論でも確かに純粋状態の重ね合わせは再現されているのです。ご参考になれば幸いです。
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