話題を広げることや無言の時間を減らしたりすることを考えている、ということは誰かと会話を想定しているわけですね。誰かと会話していて、相手が何かを話しても自分がうまくそれに反応できなかったり、無言になってしまったり、そういう気まずい時間を減らしたい。そんな気持ちが背景にあるのだと理解しました。

そのように考えた場合、最初に試すといいのは「自分から話す」ことを意識するのではなく「相手の話に関心を持つ」ことを意識することです。

相手の話に関心を持つということは、まず相手の話を熱心に聞くことにつながりますし、自然に「なるほど」「そこをもっと詳しく聞きたい」「本当にそうかなあ」という気持ちが生まれてきます。そういう気持ちを持って聞いているのは相手に伝わりますので、相手は話しやすくなるものです。すると、気まずい時間は減ってきます。

また、相づちの表現を自分で集めてみるのもいいことです。「なるほど」「そうなんですね」「そうなんですか」「それは知りませんでした」「おもしろいです」「意外ですね」……などなど、ネットで検索しても、本を読んでいても、相手に対する反応として「相づちの語彙」は見つかります。それを意識して自分の中に蓄え、自然に出てくるように育てましょう。

自分の知識を増やすことももちろん大事ですけれど、そちらの方ばかりを意識してしまうと、相手の話を聞くこともそこそこに「この話題だったら、自分はあの話を持ち出せるぞ、ええと……」のように「自分のこと」の方に意識が向いてしまいます。これは、うまく話せれば自分の満足度は高くなりますが、相手の満足度はそれほどではないかもしれません。もしかすると「知識をひけらかしている」という評価が付いてしまう危険性もあります。

会話は二人で作るもの。相手の話題から自分の力で広げるのではなく、相手の話題に関心を持って、そこにきちんと相づちなどで反応することから始めるのがいいと思います。そうやって「ああ、この人はいつも私の話をきちんと聞いてくれるなあ」という評価が付くと、たとえ無言の時間が訪れたとしてもあまり気まずくならないというすばらしい関係が生まれます。

また、どこからか集めてきた知識というのは底が浅くなりがちです。知識であれ、経験であれ、生のままのそれではなく、自分の中で十分に咀嚼する必要があります。「この知識はこういう意味を持っているようだけれど、実はこうじゃないかと私としては思う」や「先日経験したことは、自分にとってこういう意味を持っているように感じるぞ」といった、自分の考えを自分で深める時間というものが大切です。

それは時間が掛かることですから、いますぐに話題を広げる役には立たないかもしれません。でもそのように自分で咀嚼することを継続していくなら、あなたのちょっとした一言にも重みや深みが加わっていきます。

人と会話するというのは一生続くことですから、そういう方向を狙った方が豊かな時間を生み出すのではないかと思います。

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会話に関する読み物へリンクします。

◆会話は二人で作るもの(コミュニケーションのヒント)

https://mm.hyuki.net/n/n2571d09adaa3

◆自分から話題を切り出せない

https://mm.hyuki.net/n/nf1683d87bdcf

◆親しくなりたい気持ちはあるけれど話題が思いつかず会話が苦手

https://mm.hyuki.net/n/n6050a5cc9ebb#d933f9c1-bc9d-47d4-b966-07c880c294b3

◆会話がとても苦手です - コミュニケーションのヒント

https://mm.hyuki.net/n/nfb2ce95e3ef1#cnKzq

◆言いたいことが言葉にできず、要領を得ない話し方になってしまう

https://mm.hyuki.net/n/nb357f210c676

2年

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結城浩さんの過去の回答
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