それはまさに、日本料理の手法です。日本料理の手法を用いて伝承料理を換骨奪胎したものであり、最近の言葉で言うと「再構築」という言葉がより適切かもしれません。
ストリクトな懐石だと、魚の骨は完全に除去されます。食べ終わった皿に何かが残ることは許されないからです。なので鰤大根をその体系に取り込むとしたら、鰤はアラではなく、骨を抜いた切り身ということになります。それはどうしても(アラに比べると)少し味気ないものになりかねません。だから鰤に粉を打って揚げることで、別種のコクを与えるわけですね。味の絡みも良くなるので、煮汁の味を薄くできる(もしくは濃い味をしっかりつけられる)というのもメリットです。
その場合、煮汁には鰤の旨味がほとんど放出されませんから、大根は大根で別でだしで炊きます。ここがまさに日本料理的とも言えます。
こういった換骨奪胎は、よく言えば洗練ですし、悪く言えば本来のダイナミズムを失っているとも言えます。どちらに解釈するかはそれこそ人それぞれの価値観でしょう。しかし少なくともお弁当というフォーマットでこの手法を用いたのは、個人的には大正解なのではないかと思いました。
6日