いただいたご質問から、ごく一般的な「コミュニケーションの取り方」をお話ししたいと思います。といっても、それほど特記すべきことや、キラッと輝くアイディアがあるわけではありません。

まず「ビジネスで関わる相手」とのことですので、基本的には「プライベートな内容にずかずか踏み込まない」というのは大事だと思います。アイスブレイクなどでくだけた会話が必要になる場合には、無難な話題から始めて少しずつ相手との距離感をはかるのがよいと思います。

また、相手と対話を行うときには「相手の属性や考え方を決めつけない」というのはとても大切になります。女性だから○○、年齢が四十代だから○○、出身地が△△県だから○○のように決めつけるのは避けたいですね。またたとえ相手が「私は○○なんですよ」といったとしても、そこからぐいぐいと話を広げるのではなく、それがどういう意味なのかを対話を通じて相手から聞き出すような態度が望ましいと思います。

話題や考え方だけではなく、非言語的な側面も大事です。たとえば対面で対話をするなら、リラックスして笑顔を見せるとか、せかせかいらいらするのではなくゆったりした態度で話をするとか、相手の返事をきちんと最後まで聞くといったことが考えられます。

あなたのご質問の中に「異なるスタイルやバックグラウンドを持つ相手」という表現がありました。相手の「スタイル」や相手の「バックグラウンド」を知っているのは相手ですので、相手が何を言うかに耳をすませ、相手がどんな態度を取るかに注意するのは大切になります。それは、先ほども書いたように、決めつけないことや相手の言葉に耳をすますことにもつながります。

と、ここまで書いてきて思うのは、ここに書いてきたことはビジネスに限らず、どんなコミュニケーションにも当てはまりそうですね。

細かいテクニックやアプローチも大事なんですが、その根底にあるのは何かというと「相手を尊重する態度」といえそうです。テクニックやアプローチというのは「私はあなたのことを尊重しています」ということを態度に表すための技法にほかなりません。

それは、あなたが他の人からどんなふうに扱われたらうれしいか(気持ちよく仕事できるか)を想像することにも関係しています。「自分がしてもらいたいことを相手にもする」「自分がされたら嫌なことを相手にしない」ということが大事ですね。

一言でまとめるなら「相手のことを考える」という《愛の原則》になるでしょう。

ご質問ありがとうございました。

 * * *

◆愛の原則(仕事の心がけ)|結城浩 / Hiroshi Yuki

https://mm.hyuki.net/n/na175c7464cc9

3か月3か月更新

利用規約プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください

結城浩さんの過去の回答
    Loading...