プラトンも『パイドン』で魂の不死について論じていますので真面目に考えたい問題です。

まずは質問者さんが念頭においている「魂の存在はあるとアメリカの大学などでも証明されている」というのが、具体的にどの件を指しているのかについて候補を3つほどあげてから後半の問題に入りたいと思います。

(1)「アメリカ」で「魂」といえば有名なのは20世紀はじめにダンカン・マクドゥーガルという医師による魂の重さの測定ですが、方法論や結果に疑問が残るもので、魂の存在を証明するには至りませんでした。ただこの計測から魂の重さは21gであるという通説が広まり、2003年には『21グラム』というタイトルの映画も作られています。

(2)またアメリカの一般向け科学雑誌Discoverで2007年に書かれた記事によりますとGerard Nahumという人もマイクロ波、赤外線、X線、ガンマ線で魂を計測しようとし、このアイディアをYale、Stanford、Duke といった大学に売り込もうとしたようですがうまくいかなかったようです。

ということで夢のない結果になりそうですがこのDiscoverの記事には続きがあって、魂の存在について重さやマイクロ波etc...といった測定とは別の方法で迫る方法を紹介してくれています。

(3)バージニア大学の知覚研究部門(DOPS: Division of Perceptual Studies)では心と脳、意識と身体が分離可能かという点について、証言を集めるという方法で研究を行っています。研究報告の一部として出版されたイアン・スティーブンソンの『前世を記憶する子どもたち』は日本語に翻訳され文庫化もされています。(実は私が中学生のとき初めて買った心理学・精神医学系の本がこちらだったという個人的な思い出があります。)

この3つの候補のうちどれかだと思うのですが、個人的には(3)と推察します。

ですので後半の質問「魂はどこに行くのか」については、スティーブンソンの本にある証言を参照してみてください。

ただこの研究方法ですと魂の存在の実証とはならず、あくまで心の問題になります。Discoverの記事は最後、現代のチベット僧の言葉“This is not a matter for the eyes; it is a matter for the heart.(目にみえる問題ではなく心で感じる問題です。)”で締めくくられています。今後もさまざまな分野で物質の世界と心の世界に橋をかけ、相関を探るような議論が続けられることを願っています。(たとえばMondのこちらの議論も要注目です。)

2年2年更新

利用規約プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください

佐藤愛さんの過去の回答
    Loading...