ご質問のこの現象、言語学的には「プロトタイプ」として説明されます。動詞と形容詞を両極とする連続体を想定し、各用法はその連続体のどこかに位置づけられると解釈されます。つまり動詞か形容詞のどちらかであるという二律背反の問題ではなく、グラデーションの問題だということです。
過去分詞の用法は、動詞的な性質が強いものから形容詞的な性質が強いものまで様々です。いくらでも細分化できそうですが、連続体の上に4つくらいの点を取ってみましょう。
(1) 著しく動詞的な用法
- The letter was written by my sister. 「その手紙は私の姉によって書かれました。」
- The meal was prepared by a professional chef. 「その食事はプロのシェフによって用意されました。」
(2) そこそこ動詞的な用法
- The road is blocked due to construction. 「その道路は工事のため封鎖されています。」
- Our plans are influenced by the current economic situation. 「私たちの計画は現在の経済状況に影響されています。」
(3) そこそこ形容詞的な用法
- I am tired after the long journey. 「長旅の後で私は疲れています。」
- She was surprised by the unexpected gift. 「彼女は予想外の贈り物に驚きました。」
(4) 著しく形容詞的な用法
- He is interested in classical music. 「彼はクラシック音楽に興味があります。
- We are satisfied with the results of the experiment. 「私たちは実験の結果に満足しています。」
以上の4点について、判断が微妙なところもあるかもしれませんが、議論のポイントは理解できたかと思います。過去分詞の用法は連続的であり、動詞的な性質が強いものから形容詞的な性質が強いものまで、様々な段階があるということです。
ご質問の例文でいえば、The door was opened by John. は、「開ける」という動作と動作主が明示されており、著しい動詞的用法に該当します。一方、John is interested in English. は、John の状態を表しているにとどまり、著しい形容詞的用法に該当します。
議論をまとめます。過去分詞が動詞か形容詞かという問題は、単純にどちらか一方であるかが定まるようなゼロイチの問題ではありません。むしろ、動詞的な性質と形容詞的な性質の間の段階的変化の問題と考える必要があります。
言語学では、このような現象を「プロトタイプ」という観点から説明しています。動詞や形容詞という品詞の「典型(プロトタイプ)」があり、実際の用法はそこからの距離によって連続的に変化すると考えるわけです。 関連して、回答者のブログより以下をご参照ください。
- 「#1964. プロトタイプ」 https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2014-09-12-1.html
- 「#3533. 名詞 -- 形容詞 -- 動詞の連続性と範疇化」 https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2018-12-29-1.html
- 「#4436. 形容詞のプロトタイプ」 https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2021-06-19-1.html