池波聖地巡りからスタート、というのは実にいいですね!

このまま次のガイドブック的なものを求めるなら、東京老舗探訪的な本やムックもいろいろ出ているはずです。僕がおすすめしたいのは、古書でしか入手できませんが、文春文庫ビジュアル版の『B級グルメ』シリーズです。これは1990年前後にリリースされたシリーズですが、この時代の「B級グルメ」の概念・定義は、今のものとかなり違います。今は、ジャンクで濃くてとにかく安くて量が多い、みたいなイメージですが、当時は「味はA級、値段はB級」というのが定義であり、肩肘張らない店だけど味は高級店に勝るとも劣らない、という店を抽出しようとしています。結果的にこれは、池波正太郎的世界観にも通じる、ある種の品格漂うものになっています。そもそもこれは「一万円クラスのレストランに対するアンチテーゼ」なので、一般的感覚として安い店ばかりではありません。

古い本ですから、今はもう無い店も多いのですが、逆に言えば残っている店には「何かある」と考えてよいのではないかと思います。ビジュアル中心なので、何かありそうな雰囲気も伝わりやすいです。

 

もうひとつ、発想を変えて、自分の感覚を頼りにするということもおすすめしたいところです。池波巡りの後であれば、きっとある種の嗅覚のようなものが育っているのではないでしょうか。どこか拠点を決め、食べログで半径500m検索をしてその嗅覚でピンとくる店をピックアップする。そして散歩がてら実際に店の前を通ってその日行く店を決定する、みたいな流れです。

池波的には拠点は神田や銀座でしょうか。僕はもっと下町の、生活感漂うあたりも好きです。ありがたいことに東京は、だいたいどんな駅でも何かが見つかるものです。山手線北側は個人的に特におすすめです。

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