私はパソコンで原稿を書いています。
私がデビューする前後、世の中にワープロが登場しました。ディスプレイは12ドットのカクカクの文字が、電卓のディスプレイ程度の小さな窓にしか出ない上に、書いていく間にどんどんプリントされていき、文書の保存は出来ないという、まるで「電気タイプライター」といった感じのものでしたが、私はまずそれに飛びつきました。今にして思えばおもちゃのようなワープロを使って最初の頃の原稿を書いていたものです。そして、原稿を応募するときには、友人からパソコンを借りて、小さなワープロで書いたものをあちこちつなぎ合わせ、足りない部分を補って、それを5インチフロッピーに保存していたものです。
やがてワープロはめざましい進化を遂げ、専用機がどんどんと出てきました。5インチフロッピーから3.5インチと小さくなり、文書の保存も出来るようになりました。どうじにパソコンの世界も発展を遂げており、やがてワープロに変わってパソコンのワープロソフトに優れたものが出るようになり、ワープロ文化は廃れていったというわけです。フロッピーも遠い過去となり、USBでのやり取りから、最近では添付ファイルでも原稿のやり取りが出来るようになりましたね。思えば昔、カセットテープやビデオテープで、「カシャッ」という音をさせると音楽や映像が始まる合図になっていたように、フロッピーを挿入するときも「カチャッ」という音がして、それが仕事のアクセントにもなっていたものです。
このようにデビューのときから電子機器を使ってきたので、私には抵抗がありませんし、指先を動かしながら考えるというのがリズムになっています。文章を書くときにはその人なりの呼吸やリズムというものがありますので、それを左右されるということも最初からありませんでした。ですが、たとえば最初は手書きで原稿を書かれていたという方が、途中からワープロに変えるということになると、呼吸もリズムも、もっと言えば文体も変わってきてしまう場合がありますから、苦労されると思います。そして今でも手書きで原稿を書かれている方もおいでになります。
ところでブラインドタッチが出来ないということですね。これは残念! 練習しましょう!
せっかくパソコンを使うのであれば、いちいちキーボードに目を落としながら文章を書いていては、それこそリズムが殺がれてしまいます。練習用の基本ソフトのようなものがあるはずですから、まずはブラインドタッチの連中を集中して行うことが大切です。私の場合は、最初は富士通の親指変換ソフトというものから始めて、しかもカナ入力にこだわっていましたので、そのうちに親指変換が廃れていき、現在の主流である入力方法に移行してからは、またブラインドタッチと変換方法を覚え直さなければなりませんでした。それでも、自分の思うリズムで文章を書くためには必要なことです。カナ入力は変わっていません。
そして私は「一太郎」のシリーズを一番最初から使っています。最近は原稿をデータ化して渡す、または送信する場合などに「Wordで」と要求されることが多いのですが、「一太郎」で書いて、Wordで保存することが出来ますので、そこは問題ありません。
パソコンを使っていると、勝手に壊れて勝手に治ったり、アップデートが必要だったりと、実際は機械に弱い私には困ることが少なくありません。それでも、キーボードで始めた以上は、それでリズムを取り続けることになるだろうと思います。