私が書いている数学物語や数学対話は、いわゆる小説とは違う部分もありますけれど、私が個人的に思っていることを書きたいと思います。
まず、私が物語を書く場合には、あまり「起承転結」を意識することはありません。長くても短くてもそうです。「起承転結」が不要なわけではないし、意識することが悪いとまでは思いませんが、他に考えるべきことがたくさんあるので、「よし、ここで《転》にはいるぞ」みたいに考えることはほとんどありません。
これは想像ですけれど「起承転結」は小説や物語の構成を人に説明するときにはそれなりに有効ですが、自分が執筆するときにはあまり有効じゃないんじゃないかなと思います。なぜかというと、そんなふうに「起承転結ありき」でストーリーを考えるならば、いかにも型にはまったストーリーになりそうだからです。質問に書かれているように「ストーリーに変化を持たせるため」という目的を考えるならなおさらです。
ここでいったん「起承転結」というキーワードを忘れて、あなたが質問で書いている「ストーリーに変化を持たせる」ということにフォーカスを当ててみると、別の方策が見えてきます。「ストーリーに変化を持たせる」というのは読者視点で考えるなら「単調な話だな」と思われないようにするということですよね。そして単調な話だと思われる理由は「次に何が起きるか予想できちゃうから」になるでしょう。
私は多くの場合、舞台設定を終えて登場人物に問題を与えたあとは彼女たちの自由な行動にまかせます。ときには作者である私自身にも予想が付かなかった方向に話が進むこともあります。そのように書き進めていくなら「ストーリーに変化を持たせる工夫」をあまりしなくても、自然に変化がつくのではないでしょうか。
物語を作る方法の一つは、登場人物がいちばん困る状況を作り出すことです。そして登場人物が何とかしてその状況を解決するのを見守る。どうしたらその状況を解決できるのだろうかと、作者自身が疑問に思うような状況を作り出せばいいのだと思っています。言うは易く行うは難しの典型ですけれど……
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以上、個人的に思うことを書きました。
関連する読み物を紹介します。
◆読み切り漫画は描けるけど、連載漫画が描けない! 物語はどうやって作ればいいの?(登場人物が困る状況を作る話)
https://mm.hyuki.net/n/n3ce5c304dcb4
◆小説を書くことに憧れているけれど、ストーリーが思いつかない。どうしたらいい?
https://mm.hyuki.net/n/nc84f24172d15
◆物語とは何だろうか