働きながら勉強を始めるというのはすばらしいことです。ぜひ継続していただきたいと思います。働きながら勉強をするというのは、特に時間の確保という点で大いに苦労なさるときがあるはずです。ぜひそれにめげずにうまく調整してがんばってください。
「勉強ができなかった時期への後悔」というお気持ちはよく理解できます。それは勉強に限らず、自分が取り組む活動が進み始めたり、おもしろさが見えてきそうなタイミングで発生することもありますし、ちょっと引っかかったタイミングで発生することもあります。
「こんなことなら、もっと早く始めておけばよかった……」
「もっと若い時代なら、スムーズに進んだかもしれないのに……」
「時間がたっぷりあったころに、少しでもやっていれば……」
そんな感覚で心が落ち込んでしまう現象は、多くの人がしばしば体験すると思います。
私の場合にはそういうときには「事実に目を留め、開き直り、自分が現在できることをする」ようにして対処しています。
「事実に目を留める」というのは「確かに早く始めておけば良かった。それは事実だ。若い時代ならスムーズに進んだかも知れない。それは事実だ。時間がたっぷりあったころに、少しでもやっていれば。それは事実だ」と認めることです。
「開き直る」というのは「確かにそれはそうだが、だから何だというのか。後悔したからといって何かが進むわけでもあるまい」という考え方のことです。
「自分が現在できることをする」というのは「いまは自分が取り組んでいるこのことに時間を注ごう。自分の能力ではこのくらいしか進めないかもしれないけれど、これが現在の自分なのだ。自分なりの一歩を進めよう」という態度のことです。
そして、無理に前向きにならなくてもいいのです。勉強というのは継続であり、習慣です。前向きになれればそれに越したことはありませんが、前向きのときだけ進めるということは、後ろ向きのときは進めないということにつながりかねません。そうではなくて、気持ちとは関係なく、淡々と進めていきましょう。
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